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概念芸術の世界を紹介 松澤宥生誕103年祭が下諏訪で開幕
2025年3月8日
コンセプチュアル・アート(概念芸術)の分野で世界的に活躍した下諏訪町友之町出身の芸術家、松澤宥さん(1922〜2006年)を顕彰する「松澤宥生誕103年祭」が7日、御田町の旧矢崎商店で開幕した。松澤作品を管理する「松澤宥プサイの部屋」の協力で、未公開を含む約30点を展示。松澤さんが1964年「オブジェを消せ」の啓示を受けて以降に制作した文字のアートを、居間の畳全体に敷き詰めた作品などが、来場者の興味を引いている。
町で受け継がれてきた歴史や文化を研究する町民有志の「御田町文化研究会」(御田研)が主催。県「元気づくり支援金」の採択を受け、町が移住定住拠点として活用を目指す同商店建物のアピールを含めて計画した。
昭和30年代に生糸問屋を営み、看板建築が特徴の同商店は、松澤さんが生きた時代と交差。1階の客間には初公開となる「御幣曼荼羅(まんだら)」、松澤家伝来の箱と箱の中身を、曼荼羅のように並べたオブジェなどを展示した。
居間には白い円などを描いたコラージュや、9字9行を一単位とした文字の曼荼羅など、啓示を受けた頃の作品を配置。中庭の蔵では、松澤さんによるパフォーマンスの記録映像が観賞できるほか、「観念美術」が体験できるコーナーなどを設けた。
松澤さんは世界で活躍しながら、諏訪実業高校定時制下諏訪分校で35年間数学の教師を務めるなど、生涯下諏訪で過ごした。103年祭では、回覧板などを通じて松澤さんの目撃情報を募集。下諏訪分校の教え子や親戚、町民などから約30件が寄せられ、同商店入り口の通路に展示されている。
15日(土)午後2時から今井邦子文学館で、本展コーディネーターで22年に県立美術館(長野市)で開かれた「生誕100年松澤宥展」キュレーターの木内真由美さん(現・県伊那文化会館学芸主幹)をパネリストに、目撃情報をもとにしたトークイベントを開催。松澤宥プサイの部屋評議員で長女の松澤久美子さん(75)=高木=は「皆さんの協力のおかげで、すてきな展示になった。自分が知らない父の一面も分かって、うれしい」と話していた。
入場無料。9日(日)までと14日(金)〜16日(日)の週末3日間、午前10時から午後4時半(16日は4時)まで開く。8日は午後4時からJR下諏訪駅前広場で、松澤さんを慕う芸術家、宮坂了作さん(諏訪市)と打楽器奏者、宮坂遼太郎さん(同)らによるパフォーマンスイベントがある。
(写真は、箱のオブジェを解説する木内さん)