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下諏訪に移住の井谷さん 駅前通りに 「コノミ製パン所」

2025年2月25日


 昨年6月に下諏訪町へ移住した井谷好さん(37)=大阪府松原市出身=が、広瀬町のJR下諏訪駅前通りにパン店「コノミ製パン所」を開いた。激戦区の東京都内でシェフを担った実績を携え、町内で取り扱いが少ない「ハード系」やデニッシュ生地のパンをメインに取りそろえる。専門店が求められている地域を探してたどり着いた地への思いも強く、「県内の有名店になって下諏訪に人を呼びたい」と意気込みを話している。
 井谷さんは高校で勉強を得意としつつも、きょうだいにおやつを作って喜ばれたことなどを切っかけに、「パン屋を開く」と志を抱いて製菓の専門学校に進学。卒業後は、都内の個人店を経験しながら経営も学び、有名レストラン系列のパン店を含めて5年ほどシェフを務めた。開店から3年間、赤字続きだった店を1年目で立て直した実績も持つ。
 パン店がありふれている地ではなく、求められている場所で自身の店を構えようと移住専門サイトの会員になり、下諏訪町を知った。ほかの地に足を運びつつも、映画を機に湖のほとりでパン店を開く憧れがあったほか、個性豊かな個人店が多い町の特徴、「パン屋が欲しい」との住民の声を聞いたことなどが下諏訪を選ぶ後押しに。自身が好きな温泉が、決め手となったという。
 男性が多い業界で負った苦労も多く、「プロの店」を意識して黒を基調としたシンプルな店に空き家を改修し、1月に開店した。酒を使ったり、県内産を中心に国産小麦を主とした材料にこだわったりと「大人のパン屋」をイメージしたパンは溶岩釜で調理。1人で500個以上を焼いて販売するも日々、50〜80人程度が訪れて閉店前に売り切れる盛況ぶりで、リピーターも多く訪れている。
 地元住民の協力やSNS(交流サイト)でパン店ができるとの情報が開店前から出回り、当初からの反響に「心待ちにしていたのだと感じる」と井谷さん。「いずれはカフェやモーニングもやって地域に溶け込む店にしたい。パン屋だからできる町への誘客もある。一極集中ではなく、必要な所に店を出す大切さも体現したい。一つのパンで1日をよりよく過ごしてほしい」と力を込める。
 毎週水、土曜日の正午からを基本に営業。店の情報は、写真共有アプリ「インスタグラム」のアカウント(konomi_seipanzyo)から確認できる。(写真は開店準備をする井谷さん)