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松澤宥生誕103年祭 来月7〜9、14〜16の6日間 旧矢崎商店に未公開作品など展示

2025年2月15日


 コンセプチュアル・アート(概念芸術)の分野で世界的に活躍した下諏訪町友之町出身の芸術家、松澤宥さん(1922〜2006年)を顕彰する「松澤宥生誕103年祭」は、3月7(金)〜9(日)、同14(金)〜16(日)の6日間、御田町の旧矢崎商店を主会場に開く。未公開を含む松澤さんの作品を展示するほか、打楽器奏者の宮坂遼太郎さん(諏訪市出身)によるパフォーマンス、松澤さんの目撃情報を語り合うトークイベントなどを計画している。
 諏訪の信仰や民俗学などを研究する民間団体「スワニミズム」が企画して22年に開いた「生誕100年祭」が、新型コロナの真っただ中だったにもかかわらず、多くの関心を集めたことから、盛り上がった機運を下諏訪の魅力づくりにつなげよう—と町で受け継がれてきた歴史や文化を研究する町民有志の「御田町文化研究会」(御田研)が主催。県「元気づくり支援金」の採択を受け、町が移住定住拠点として活用を目指す同商店建物のアピールを含めて開く。
 中心になって準備を進めている同会の那波佳子さん(46)によると、昭和30年代に生糸問屋を営み、看板建築が特徴の同商店1階和室と中庭の土蔵を会場に利用。建具や天井などに細かな細工が施された和室では、松澤さんの作品を管理する「松澤宥プサイの部屋」の協力で、平面作品やオブジェ、松澤さんが1964年に「オブジェを消せ」の啓示を受けて以降に取り組んだ文字のアートなど約15点を、和室の雰囲気とコラボレーションさせながら展示。土蔵では松澤さんのパフォーマンス作品のビデオを上映する。
 県立美術館(長野市)で開かれた「生誕100年松澤宥展」のキュレーター・木内真由美さん(現・県伊那文化会館学芸主幹)が展示企画を担当。那波さんによると約半数が、100年祭でも紹介していない未公開作品といい、「美術を知らない人も楽しめ、コンセプチュアル・アートが体験できる企画も用意している」という。
 世界で活躍しながら生涯下諏訪で過ごした松澤さんの目撃情報は同商店に展示するほか、15日(土)午後2時から平和館(御田町)で開くトークイベントで語り合う。御田研事務局の町産業振興課を窓口に、松澤さんが35年間教師を務めた諏訪実業高校定時制下諏訪分校の卒業生、一般町民などから広く募集している。
 宮坂遼太郎さんのパフォーマンスは8日(土)=時間と会場未定=に計画。宮坂さんは生誕100年祭に合わせて開かれたサウンド・インスタレーションにも出演しており、仲間と2人で松澤さんにも通じる即興演奏を披露する予定。
 那波さんは「松澤さんと旧矢崎商店が融合し、ここでしか見られない展示や、松澤さんの生きた情報が集まってくる貴重な企画になる。美術を知らなくても楽しめるので、大勢に来てほしい」と呼びかけた。
 入場無料。問い合わせは御田研事務局の町産業振興課(電0266・27・1111、内線274)へ。記念サイトから情報が入手できる。(写真は、会場となる旧矢崎商店)