NEWS
諏訪湖漁協の初市 豊かな湖再生願う
2025年1月10日
諏訪湖漁業協同組合(諏訪市渋崎)の初市が9日、諏訪市の漁業センターであった。ワカサギの採卵資源(親魚)を保護する目的で、昨年11月から投網漁を禁止しているため主役がいない新年の始まりとなったものの、早朝に水揚げされた生きのいい寒ゴイや、ナマズをお披露目。漁協関係者や諏訪地域の川魚店主ら約20人が、ことし一年間の豊漁や安全、かつての豊かな諏訪湖の再生を願った。
早朝に数人の漁師が出漁。この日1時間のみワカサギ漁を解禁したが、取れなかった。初市にはナマズ2匹3キロ、寒ゴイでは大が18匹54.6キロ、小が10匹19.3キロ出荷された。10.2キロの大物もあり、それぞれ水しぶきを飛ばして生き生きとした姿を見せた。
藤森惠吉組合長(74)=諏訪市=は湖が一変した2016年の魚の大量死や気候変動による不漁に触れながら、「ワカサギをこの席に並べられなくて残念」とする一方、かつての湖を戻す取り組みを続けていることから「10、15年かかるかもしれないが、復活を願って我慢する覚悟。昨年始めた『コイのみそ漬け(みそ焼き)』も好評なので、希望を持てる年になることを祈る」とあいさつした。
参加した川魚店6店のうち、信州諏訪えびす屋(諏訪市湖岸通り)は漁期中に諏訪湖産のワカサギを提供していたが、禁漁後はほかから仕入れているという。八幡一成社長(64)は「諏訪湖のワカサギあっての商い。諏訪湖産が一番おいしいので、漁獲が回復するまで我慢するしかないが、ことしは昨年を上回る量を期待している」と話した。
漁協によると昨季(昨年9月9日〜11月14日)のワカサギ漁は、週2日のみ解禁して市場へは2カ月間で1トンを出荷したという。昨年春には野尻湖漁協(信濃町)から購入した5千万粒に、諏訪湖で自然採卵した170万粒を合わせた5170万粒を放流した。
今季の採卵事業では例年行う流入河川での親魚の捕獲をはじめ、採卵期には湖内に仕かけた定置網や、野尻湖漁協の採卵方式を昨年導入し、砥川(下諏訪町)に設置した「付着沈性卵用孵(ふ)化装置」で県水産試験場諏訪支場(同)と協力しながら、かつての資源豊富な諏訪湖の復活を目指す。(写真はワカサギがない初市となったが、脂の乗った寒ゴイなどが並んだ)