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「源氏物語」諏訪家本写本の活字化へ〜市民参加のプロジェクト始動〜

2024年12月22日


 諏訪市博物館は、収蔵する高島藩諏訪家伝来の「源氏物語」写本全54冊を活字化するプロジェクトを立ちあげ、21日には作業に協力する市民向けの説明会を開いた。写本に接する貴重な機会と、県外を含む高校生から社会人まで56人の協力者が集まった。別の翻刻資料と照らし合わせ、異同部分を確認して修正し、来年3月20日(木=祝日)をめどに提出してもらう。
 諏訪家本は「こ少将の君」の手で書き写され、里村紹巴が調べた本と校合を重ねたらしい。紹巴の師である是斎が1607(慶長12)年に奥書を書いたと記されるが、後世に書き写された可能性もある。昭和時代後半に、諏訪家から寄贈され、市図書館、市史編さん室を経て、平成の初めに同館が収蔵する。
 プロジェクトでは諏訪家本の画像データと、当該部分の他本の翻刻資料を照らし、表記の異同を確認。異なる部分を他本資料へ書き込み、諏訪家本の翻刻を作る。協力者には経験の有無や希望に配慮して1人1冊を原則に作業を分担、ページ数の多い「若紫」は二分した。来年2、3月には月1回の「みんなで読む会」を企画して参加者同士や学芸員、ボランティアと一緒に読む機会も設けてフォローする。 
 大河ドラマを機に「源氏物語」を読む男性は「書をやっているので、経験を生かせたらと思い、応募した。写本を見ることができるのが最大の魅力」と話した。市教育委員会生涯学習課の小林純子課長は「市民との協働は、原文を読む楽しさに触れてもらったり、調査研究への関心を高めてもらえるなど意義あるもの」と期待する。(写真は大勢の協力者が集まり、活字化プロジェクトが動き出した)