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節目の舞台 情感豊かに 古田人形芝居「伝承三百年祭」
2024年12月9日
箕輪町上古田に伝わる伝統芸能「古田人形芝居」(県選択無形民俗文化財)の発祥から約300年を記念した定期公演「伝承三百年祭」が7日、町文化センターホールで開かれた。古田人形芝居保存会、箕輪西小古田人形クラブ、箕輪中古田人形部の3団体に加え、淡路人形浄瑠璃(国重要無形民俗文化財)を継承するプロ団体「淡路人形座」(兵庫県南あわじ市)が特別出演し、約430人が節目の舞台を堪能した。
古田人形芝居は、江戸時代中期に淡路や上方から伝わり、冷害をなくすための風よけ祈願として奉納されたのが始まりとされる。定期公演は、町教育委員会の主催で毎年この時期に開き、淡路人形座との共演は2018年以来。
オープニング式典で、小林久通教育長は「さまざまな変遷をたどりながらもこうして公演ができるのは、受け継ぎつないできた多くの先人や現在取り組んでいる皆さんのおかげ。この公演を節目に、古田人形が更に未来につながっていくようにご支援を」とあいさつした。
保存会による舞台清めの舞「三番叟(さんばそう)」、淡路人形座による祝儀の「戎(えびす)舞」で開演。西小は、母子の再会と悲しい別れを描いた「傾城(けいせい)阿波の鳴門—順礼歌の段—」を現代語訳で発表した。悲恋の名作「生写(しょううつし)朝顔話」は、公演に合わせて新調した「戎屋徳右衛門」の人形も使い、保存会が「宿屋の段」、箕輪中が「大井川の段」を情感たっぷりに上演。「傾城—」の「口」を保存会、「奥」を淡路人形座が演じてフィナーレを飾った。
幕あいには、保存会と淡路人形座のコラボで、人形の解説や操り方を実演するワークショップもあった。
保存会会長の柴登巳夫さん(80)=上古田=は閉幕あいさつで、「伝統芸能を継続するのは大変なことだが、古田人形は何としても続けたい。若い後継者にぜひ仲間になってほしい」と願いを込めた。
(写真は、「生写朝顔話」を上演する古田人形芝居保存会)