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伝統の「ざざ虫漁」解禁 伊那地域の天竜川で風物詩

2024年12月3日


 伊那谷の冬の風物詩「ざざ虫漁」が1日、上伊那地域の天竜川で解禁された。初日は許可を受けた天竜川漁業協同組合員2人が、伊那市内の浅瀬に出漁。くわでひっくり返した石を足で踏み、流れてきた虫を網で受け止める漁法で、約600グラムを捕った。
 ざざ虫はカワゲラやトビゲラ、ヘビトンボといった水生昆虫の幼虫の総称。上伊那地域では昔から冬場のタンパク源として親しまれ、つくだ煮などで食べる風習がある。現在では「高級珍味」として、地元の飲食店や土産物屋で扱われている。
 漁に出たのは50年近く続けるベテランの中村昭彦さん(80)と、漁仲間の原雄一さん(74)。流れの緩やかな箇所に手製の「四つ手網」を仕掛け、水温約10度の川で漁をした。今季は10、11月の大雨の影響で「過去10年で最悪の状況」と中村さん。漁獲量は例年の2、3割で、小ぶりな虫が目立つという。
 同漁協によると、40年ほど前には70人前後が漁をしていたが、高齢化などの理由で減少。昨季は11人にとどまった。コンクリート護岸による川の流れの変化や、近年の異常気象によって漁獲量も減っており、伊藤伸一組合長(55)は「伝統漁法、食文化を後世に残していかなければ」と危機感を示す。
 今季の漁は来年2月末まで。中村さんは「ざざ虫は日本全国にいるのに、漁をして食べるのはここだけ。食文化を守るためにも、頑張っていきたい」としていた。
(写真は、石を踏んで虫を引き離す中村さん㊧)