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町博物館で「原点」諏訪湖の作品展 報道写真家の樋口健二さん
2024年11月17日
富士見町出身の報道写真家、樋口健二さん(87)=東京都国分寺市=の写真展「諏訪湖(すわのうみ)と私」(同展実行委員会主催)が16日、町諏訪湖博物館・赤彦記念館で開幕した。初日は樋口さんが会場を訪れ、公害や原発問題を暴いてきた報道写真家としての原点は諏訪湖—と郷里の湖への思いを語った。
1970年代から30年余にわたり撮影してきた諏訪湖の写真約50点と、原発に関わる報道写真約10点を展示。ごみだらけの湖岸で遊ぶ子どもたちの無邪気な表情が印象的な一枚や、魚の死骸が浮く汚れた水面を撮影した70年代末〜80年代初頭の写真、「よみがえれ諏訪湖」を掲げて浄化の取り組みが始まった年代、2013年1月の御神渡り、湖にかかる雲や遠くの山並み、夕景、飛来する野鳥、湖畔の草花、湖上の花火大会など、湖の姿をさまざまな視点で切り取った作品が並ぶ。
農家の長男だった樋口さんは、4歳の時、父親に連れられて初めて諏訪湖を訪れ「わっ海だ」と叫んだという。樋口さんは「それが写真家としての原点だった」と語り、報道写真家としての仕事の傍ら、暇を見つけては諏訪湖を訪れて撮影してきた。「学校の先生に『東洋のスイス』と教えられた湖が美しくあってほしい。少年時代の思い出が環境問題の原点。わっ海だと言ったところから(報道写真家の活動が)始まった」と身ぶり手ぶりを交えて力強く思いを述べた。
12月22日(日)まで。入館料は350円(高校生以下無料)。今月23日(土=祝日)午後1時半から、諏訪市在住の報道写真家、石川文洋さんと樋口さんとの対談「報道写真家が見詰める諏訪湖—環境と平和—」が行われる。(写真はアオコとヒシ、ごみが模様のようになった湖面の写真を解説する樋口さん)