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不用品をアートに 下辰野商店街の空き物件で「トビチ美術館」
2024年11月9日
辰野町の一般社団法人「○(まる)と編集社」は、下辰野商店街の空き店舗や空き家を美術館に見立てて芸術作品を展示する「トビチ美術館」を開いている。国内外の作家7人と1組が参加。空き物件から出た不用品でインスタレーション(空間芸術)や立体作品を作り、街中を彩っている。
4年目の企画で、ことしも作家は公募して選考し、国内3人、国外4人と1組の参加が決まった。それぞれ町に滞在し、作品作りには同法人が空き物件から回収して保管している廃材などを使った。ことしからの試みとして商店街のほか、荒神山公園と信州豊南短期大学の裏山も会場に選んだ。
出来上がった作品がある一方、制作中の作品もあり、完成までの過程が楽しめる。フランスの作家で空間芸術などを手がける加藤アレクサンドル拓也さん(33)も、旧安藤精麦の倉庫を会場に作品作りを進めている最中。コンセプトには「松本市で生まれた亡き父のルーツと会場の空間をつなげる」を掲げる。
作品は、空き物件から出た机に、3Dプリンターで作ったカマキリの足のオブジェを置き、父が生まれた時代の松本の写真、父が撮影した写真、現在の辰野の写真などをコラージュして乗せる。完成は今月中旬を見込み、加藤さんは「作品を見て、自身のルーツを知る切っかけになれば」としている。
イベントは「暮らしの中にアートが普通にある豊かな未来」を目指し、10年続けることを目標にしている。同法人の担当者は「商店街を散歩しながら作品や作家との交流を楽しんでほしい」と話している。
12月1日(日)まで。入場無料。一部会場を除き24時間鑑賞できる。会場は地図サイト「グーグルマップ」で確認できる。問い合わせは同法人(メールrevision@maruto.co.jp)へ。(写真は今月中旬の完成を目指し、作品作りに取り組む加藤さん)