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土偶「仮面の女神」国宝指定10年で回顧 尖石縄文考古館で特別展
2024年10月23日
茅野市尖石縄文考古館で、国宝土偶「仮面の女神」の指定周年を記念した特別展が開かれている。一緒に出土した国宝の浅鉢形、鉢形土器8点と共に展示するほか、年表や指定理由、出土した中ツ原遺跡、図解などのパネル8枚、当時の様子を再現した模型なども並べる。造形美の魅力や縄文時代の葬送儀礼の変遷などに迫り、来場者をはるか昔の歴史文化にいざなう。11月4日(月=振替休日)まで。
仮面の女神は、縄文時代後期(約4000年前)の中空立像土偶で同市で出土した国宝土偶「縄文のビーナス」と共に一帯の縄文文化を代表する遺物。中ツ原遺跡で2000年8月に出土し、14年に国宝指定を受けた。高さ34センチ、重さ2.7キロと大型で、体の随所に幾何学文様があり、逆三角形の仮面を身に着け、太く張り出した脚などの特徴を持つ。
国宝指定の理由を説明したパネルでは破片で見つかる土偶が多い中、完全な形で復元できる状態で墓と想定される場所で見つかり、「遺体の頭に鉢状の土器をかぶせる縄文時代後期の葬送儀礼『鉢被(かぶ)せ葬』を解き明かす欠かせない資料」と紹介している。
発掘当時を再現した大型模型、鉢被せ土器6点も並ぶほか、土偶のルーツをたどれるよう辰野町で見つかった「日本のへそ土偶縄文の母ほっこり」や山梨県で発掘された「縄文の仮面小町ウーラ」との共通点についても解説。仮面三姉妹と呼ばれる三つのレプリカが一堂に見られる機会にもなっている。
「造形と埋納が語る『仮面の女神』」として、同展を企画した市教育委員会文化財課の吉村璃来さんは「仮面の女神の魅力を再認識してもらうとともに、造形的な素晴らしさや見つかった状況、周りの土器と一緒に見えてくる縄文時代後期の茅野史も知っていただけたら」と話す。
午前9時〜午後5時(最終入館は4時半)。要入館料。月曜と祝日の翌日は休館(この日が休日、土、日曜の場合は除く)。問い合わせは同館(電0266・76・2270)へ。
(写真は、国宝土偶「仮面の女神」と関係する遺物、模型が展示された会場)