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岡谷市内の3古墳巡ろう 美術考古館で出土品も並べ紹介

2024年9月26日


 岡谷美術考古館で、岡谷市内にある7世紀末から8世紀初頭の古墳を取り上げた特別展が開かれている。「市内古墳巡りのススメ」と題し、墳丘と石室が残っていて「誰が見ても古墳と分かる」という3カ所を紹介。それぞれの特徴をまとめた資料や写真などのほか、普段は展示していない出土品も並べている。
 8月に開いた市出身で、京都国立博物館学芸部上席研究員・保存科学室長の降幡順子さんによる考古講演会に合わせて計画。講演では主に、国宝の極彩色壁画があることで知られる高松塚古墳(奈良県)が取り上げられたことを踏まえ、同古墳とほぼ同じ時期の市内の史跡を選んだ。
 姥ケ懐(うばがふところ)古墳(長地出早)、唐櫃石(かろうといし)古墳(同)、コウモリ塚古墳(長地鎮)の写真や石室内の図、発見された出土品などを紹介。皿とした使われた「坏(つき)」と呼ばれる道具や、くんだ水をためていたという「大甕(おおがめ)」の口の部分に当たる「口縁(こうえん)部」など、各史跡で発見された計12点を展示する。
 唐櫃石古墳の石室内に自生する「ヒカリゴケ」についても解説。環境省のレッドリストで準絶滅危惧種に指定されていて、市天然記念物にもなっている。市内で観賞できるのは恐らく同所のみといい、同館は史跡の中に天然記念物があるのも珍しいとする。
 場所は考古展示室の企画展示コーナー。各古墳の位置を示した地図や、古墳巡りの注意点などを載せたチラシも配布している。同館の担当者は「紹介していない古墳の出土品も常設展示している。まずは岡谷にも古墳があると知ってほしい」とする。展示は今月中を予定。問い合わせは同館(電0266・22・5854)へ。(写真は市内の古墳について紹介する展示)