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車廃ガラスをアートに ガラスの里×豊田×作家

2024年9月11日


 ほとんどが再生されていない自動車廃ガラスや金属部品を材料にしたガラスのアート作品が12日(木)から、諏訪市豊田のSUWAガラスの里美術館で展示される。車に戻すことができない廃材は次の命まで考えるという国内最大の自動車メーカー、トヨタ自動車(本社・愛知県豊田市)の構造デザインスタジオが、海馬ガラス工房(仙台市)のガラス作家、村山耕二さん(57)に依頼、持続可能な地球環境を考える一助に生まれたオブジェ「ボルケーノインフィニティー」だ。
 10日、同デザインスタジオのテーマプロデューサー大學孝一さん(51)、村山さん、ガラスの里の矢島康弘社長(56)が発表した。スタジオでは「ジオロジカル・デザイン」に取り組み、リサイクル率を高めても廃材にせざるを得ないものは、業界の枠を超えたアート、伝統工芸を通じてアップリサイクルの仕組み作りを目指している。99%がリサイクルできない廃プラスチックを次の命へのバトンタッチとして村山さんに託した。
 村山さんは、サイドとリアの廃ガラスと鉄と銅の部品を材料に、相反する素材の溶融と焼戻しを繰り返し、表面に金属をまとう三つのオブジェを制作した。「3点のリサイクルの量はフロントガラスを除く車1台分程度。全てが分別できれば資源になる。これまでの手法を省みてほしいというアピールになれば」と話す。
 これを機に、ガラスの里は三者協力で自動車廃材を通じた学びの場の提供も検討する。ガラスアート製作体験にトヨタ提供の自動車廃ガラス使用、研修の一環としてトヨタ自動車社員が諏訪ガラスの里で作品見学などを模索する。矢島社長は「協力して地球環境を学ぶことができるガラス体験学習プログラムを開発し、循環をテーマにした地球資源の大切さを伝えることができれば」という。(写真は自動車の廃ガラスと金属部品で制作した作品と村山さん=右=、矢島社長、大學プロデューサー)