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武井武雄生誕130年を記念して手芸図案集を復刊

2024年8月27日


 イルフ童画館は、岡谷市出身の童画家・武井武雄(1894〜1983年)の手芸図案集を復刊させた。刺しゅう作家が実際に刺した作品や解説などを加え、2016年に刊行した編集版。絶版となっていたが、再販を望む手芸愛好家の声に応え、武井の生誕130年を記念して復活させた。
 文化出版局(東京都)出版の「武井武雄手芸図案集 刺繍で蘇る童画の世界」でA5判、243ページ。1928年に刊行された武井の図案集に掲載されていた100点を全て収録する。その中から、刺しゅう作家の大塚あや子さんが実際に刺した作品をカラー写真で掲載。刺し方や使った糸などの解説もある。
 図案は、鳥をはじめとする動物や植物、人など身近なものがモチーフ。大塚さんが「すべて複雑な細い線で構成されている」と後書きに記すように、繊細な線で表現されたデザインがそろっている。
 全ての図案に、武井による指示書きが添えられているのも魅力。デザインの説明や使う生地、糸の色の提案だけでなく、「線を生かさないと馬鹿(ばか)らしいものになります」「花や鳥や人間や馬はいやだ、もう飽き飽きだ。という方にこれをお勧めします」などとユーモアにあふれるコメントもある。
 復刊を担当した同館職員の山崎康平さん(28)は「マルチアーティストの武井のデザイン的な面をよく表していて、指示書きからは考えや人柄が読み取れる。刺しゅうをしていない人でも読み物として十分楽しめる」と話す。
 税込み2750円。ミュージアムショップと、ウェブサイトで販売する。問い合わせは同館(電0266・24・3319)へ。
(写真は、復刊した武井の手芸図案集)