NEWS
御神渡り6季連続「明けの海」約9割「知っている」 国際環境団体の意識調査
2024年8月22日
国際環境団体グリーンピース・ジャパン(東京都)は20日午後、諏訪6市町村と塩尻市を対象に初めて実施した「諏訪湖『明けの海』から考える気候変動に関する意識調査」の結果を発表した。冬季の諏訪湖で、湖面の氷が割れてせり上がる自然現象「御神渡り」が出現しなかったことを示す「明けの海」が6季続いているのを「知っている」と答えた人は88.2%で、高い関心が寄せられていることが浮かび上がる一方、要因と考えられる温暖化を「仕方がない」と受け止める人も63.6%に上った。
県世論調査協会に委託して実施。湖周の市町村と回答に違いがあるかを調べるため、諏訪地域の近隣にあり、人口が多い塩尻市を加えた18〜79歳の男女1500人を調査対象とし、有効回答は456件だった。
結果を見ると、「温暖化に対して自分にできることを考えたことがあるか」の問いには「ある」が88.6%と高い数字を示す一方、そのうち「どうすればいいか分からない」とする人が65.8%を占めた。「具体的な取り組みをしている」は全体では22.8%、御神渡りに関心を持ち出現を望む人だけで見ると33.1%と高かった。
この日、八剱神社(諏訪市小和田)で同団体のプロジェクト・マネジャー高田久代さん(44)、同神社の宮坂清宮司(73)、自然エネルギー信州ネットの平島安人理事(67)が記者会見。気候変動について平島理事は「私たちの今までの行動が自然を変えてしまった」とし、宮坂宮司は「何ができるか一人一人が考え、行動に移すことが大事」とした。高田さんは結果を振り返り「『仕方がない』と受け止めるのではなく、できることを見つけていく人を増やすのが私たちの仕事だ」と述べた。
同団体は、御神渡りを題材にした短編映像作品「御渡り」を製作し、2月の国際映画祭のドキュメンタリー部門でグランプリを受賞。これを機に地域住民がどれだけ映画を知っているのかや、御神渡りをはじめとする自然環境への気候変動の影響、どのような対応を望むのかなどを調べることを目的に行った。
同団体は年内に諏訪地域で「御渡り」の上映会を計画しており、その場で調査結果も紹介するほか、7市町村にも報告書を提出する予定。(写真は意識調査の結果を踏まえ、会見した=左から=平島理事、宮坂宮司、高田マネジャー)