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区民の健康と安全祈願 南小河内で伝統行事「おさんやり」

2024年8月17日


 箕輪町南小河内区で16日、町無形文化財に指定されている厄よけの伝統行事「おさんやり」があった。白装束の男衆約30人が全長約9メートル、高さ約4メートル、重さ約400キロの「お舟」を巡行し、区民の健康と安全を願った。
 200年以上の歴史を持つとされる民俗行事。区内の用水路「大堰(おおせぎ)」を介して疫病が流行した際、この川が天竜川と逆の方向に流れていることが神の摂理に反したためと恐れられ、無病息災を願って始まったと伝わる。現在は区役員らでつくる盆祭実行委員会を中心に継承。災いを集め、外に追いやる役目のお舟は、12日にカラマツやナラの材でこしらえた。
 新型コロナや担ぎ手の負担軽減のため、巡行ルートは2020年から短縮。昨年の試行を経て導入したキャスターの力を借り、道中で「よいそれ節」などを披露しながら800メートルほど練り歩き、帰着後に従来の形で少しだけお舟を担いだ。最後はナラの木を立てて3周した後、倒したお舟を力強く揺すって破壊。破片は厄よけとして玄関に飾るため、区民がありがたく持ち帰った。
 実行委員長の大槻功さん(65)は「高齢化や人口減少、コロナの影響で若い担ぎ手が少なくなっているが、いずれは以前のようにお舟を担ぐ方法に戻せれば」と話した。
(写真は、お舟を巡行する実行委員ら)