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鬼たたきで無病息災 伊那の天伯社で「さんよりこより」

2024年8月8日


 伊那市の三峰川を挟む美篶川手地区と富県桜井にあるそれぞれの天伯社で7日、七夕祭り「さんよりこより」があった。疫病神を打ちのめそうと、地元の園児や児童ら約80人が七夕飾りを付けたササを持ち寄り、鬼に扮(ふん)した大人にササをたたき付けて川の平穏や無病息災を願った。
 伝承では室町時代の1427年、藤沢村片倉(現高遠町)の「天伯様」が洪水で押し流され、富県桜井と美篶川手地区に次々と流れ着いたとされる。これを縁として毎年、旧暦の七夕(8月7日)に祭りが営まれ、子どもたちによる鬼をたたく儀式のほか、氏子が川手地区の神社から富県桜井の神社へご神体の分霊を納めたみこしを担いで渡す。
 川手地区の神社では子どもたちがササを手に、笠をかぶって太鼓をたたく鬼役2人を中心に円陣を組んだ。「さんよりこより」と唱えながら反時計回りに3周すると、鬼に向かってササを振り下ろした。3回繰り返すと辺りには飾りが散乱。鬼はたまらず逃げ出した。
 同市の小学生(10)は「人がたくさんいたので、たたくのが難しかったけれど楽しかった。病気にならないようにお願いした」と笑顔。上川手区の白鳥芳隆区長は「約600年続くとされる祭り。天候が心配だったが、にぎやかにできて良かった」と話していた。
(写真は、鬼役の大人に一斉にササを振り下ろす子どもたち)