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減農薬の助っ人に 辰野町でアイガモ農法
2024年7月9日
辰野町平出の赤羽正春さん(74)が水田にアイガモを放ち、減農薬の米作りをしている。「安全な食料を届けたい」と10年以上続け、ことしも20羽を放し飼い。アイガモが元気に走り回り、鳴き声を響かせている。
ふ化したての5月末から始め、ネットで囲んだ9㌃と10㌃の水田で放鳥。運搬して2カ所を行き来させる。雑草や害虫を食べるほか、動き回って泥をかき混ぜることで草を生えにくくする効果もあるといい、出穂期の今月末まで続ける。
アイガモはすくすくと成長し、群れで水田をパトロール。「ガーガー」と鳴きながら縦横無尽に走り回る。鈴を鳴らすと集まるほど懐いており、赤羽さんは「私を親だと思っているのかな」と目を細める。
日中に放し、夜は隣接する小屋に入れて外敵から守っているが、カラスやキツネに襲われることも。ことしは特に被害が多いといい、当初の40羽から半減した。「かわいい職場の同僚。これ以上減らないようにしたい」と話す。
赤羽さんは長年食品流通業に携わり、退職後に本格的に農業を始めた。「日本の農薬使用量が世界的に見ても多い」との問題意識から、除草剤を使わずに栽培できるアイガモ農法を開始。ネットの管理やアイガモが食べないヒエ類の除草といった手間はあるものの「安全な食料を提供するために」と続けている。
作るのはコシヒカリで、「ほたるの里のはぜ掛け米」として販売。「普通の栽培法と味が違うのかは分からない」と苦笑するが、「冷めても味が変わらなくおいしい」「ふっくらしている」と好評という。
(写真は、餌を手にアイガモを眺める赤羽さん)