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災害時に多言語で情報提供 箕輪町が外国人の支援拠点を準備

2024年7月2日


 箕輪町は、大規模災害発生時に外国人被災者支援の拠点となる「災害多言語支援センター」の準備を始めた。1日、センターの開設、運営の基礎を学ぶ職員研修を役場で初めて開催。各課課長や情報提供の担当者など約40人が参加し、必要な支援や運営時のポイントなどを学んだ。
 外国人住民や外国からの旅行者は災害時、日本語が十分理解できなかったり、日本で発生する災害への対応、避難に関する知識が少なかったりするため、困難な状況に置かれることが少なくない。同センターは発災時に関係機関やボランティアの拠点となり、多言語による情報提供を中心に、状況把握や生活支援相談などを担うもので、国が設置を推奨している。1日現在で775人の外国人住民が暮らす箕輪町でも、速やかに立ち上げができるよう、取り組みを進める。
 研修では、NPO法人多文化共生マネージャー全国協議会の代表理事で、各地の大規模災害で支援活動を行ってきた土井佳彦さんが、支援方法や注意点などを解説。外国人に対する防災研修を実施したことで、災害時に救助活動の担い手となって活躍した例や、多言語で防災情報を見られるサイトやアプリなども紹介しながら、「災害時に外国人が何に困るかや、どう対処すべきかは分かってきている。『分かっていてやらなかった』という人災を減らしていきましょう」と、平時から備えることの重要性を訴えた。
 6月30日には、災害通訳・翻訳ボランティア養成講座の2回目となる実践編も産業支援センターで開いた。参加した約40人は、言語ごとに分かれて、掲示板の内容の翻訳や、ウェブ会議システムでの遠隔での通訳、翻訳アプリを使った相談対応などを練習。参加者からは「(遠隔でも)言語が通じる人がいると分かるだけで安心する」「システムの使い方を練習しておくことも重要」などの感想が聞かれた。
 町は9月1日(日)の総合防災訓練に、多文化共生の視点を取り入れ、学びを深める計画。10月には職員やボランティアが参加して多言語支援センターの設置訓練を予定する。
(写真は、ボランティア養成講座で遠隔での通訳に取り組む参加者=6月30日)