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ソーシャルメディア活用 諏訪の「滞在型観光」世界へ

2024年6月29日


 県諏訪地域振興局は28日、ソーシャルメディア(インターネットを通じた情報交流サービス)を活用した観光PR事業を始めた。海外インフルエンサー(ネット上で影響力のある人)が7月1日(月)まで滞在しながら、諏訪地域の自然や歴史、文化を体験。様子を交流サイト(SNS)やブログで国内外に発信・拡散してもらうことで、将来的な滞在型観光地への転換やインバウンド(訪日旅行)の誘客につなげたい考えだ。
 同局商工観光課によると、諏訪地域は都市圏からのアクセスが良く、観光地利用者の約7割が県外客の一方、通過型や日帰りが主で観光消費額は県平均を下回っている。加えて外国人宿泊者も全県に比べると少なく、「訴求力の高い媒体を使い、旅行者目線で諏訪地域をゆっくり、じっくり楽しむ旅のスタイルや魅力を発信することで訪問や滞在意欲の喚起につなげよう」と事業を計画した。
 訪れているのは、フォロワー43万人の写真共有アプリ「インスタグラム」をはじめSNSや、ブログで日本の情報を発信しているチージーさん(マレーシア出身)。初日は岡谷市と下諏訪町を回り、糸繰りやオルゴール作り、日本庭園と抹茶などを体験した。
 このうち岡谷蚕糸博物館では、髙林千幸館長の案内でかつて世界一を誇った岡谷市の製糸の歴史から隣接の宮坂製糸所で今なお息づく糸繰り、シルクを使った化粧品やランプシェードといった現代の産業に至るまでを見学。糸繰りでは足踏み式の繰糸機を使った髙林館長の実演に続き、チージーさんも繰っている糸に繭糸を足す「接緒(せっちょ)」に挑戦し、成功すると「すごい」と喜んだ。
 チージーさんのフォロワーはシンガポール4割、フィリピン3割、残りは欧米で日本に興味がある人がほとんどという。チージーさんは「生命を頂いてシルクになる工程に感動した。こうした『メード・イン・ジャパン』の質は(フォロワーに)共感してもらえると思う」と話した。
 7月から順次、動画などをアップするほか、事業を支援する「Japan Navi」(東京都)のシンガポール向けウェブサイトでも発信されるという。(写真は初日、髙林館長=右=の糸繰りを興味津々の様子で撮影するチージーさん=岡谷蚕糸博物館で)