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映画「ゴジラ-1.0」観光振興に好影響

2024年6月14日


 昨年秋に公開され、ことし3月に米国アカデミー賞の視覚効果賞を受賞した映画「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」が、岡谷市の観光振興に寄与している。ロケ地となった旧市役所庁舎を見ようと、多くのファンが来訪。地元企業の関連グッズ販売も好評だ。一方で、市はブームがいずれ沈静化することを見越し、恒常的な観光振興につなげられるか策を練っている。
 JR岡谷駅構内にある岡谷市観光案内所には、映画を切っかけに訪れる人が目立つようになった。同所の濱活秀さん(68)によると、公開直後は1日当たり100人以上が来所。今も多い時で10人以上が来るという。
 大阪府から訪れたという木場洋太郎さん(48)は、蚕糸公園から旧庁舎をスマートフォンで撮影していた。「物語の肝は旧庁舎で撮影したシーン。どうしても建物を見たかった」。岡谷蚕糸博物館、イルフ童画館なども回ると話した。
 映画関連グッズも市内企業から続々登場した。和洋菓子製造・販売のヌーベル梅林堂(本社・本町)は、同社の人気商品「くるみやまびこ」のセットを特別パッケージで販売。通常版より250円ほど高いが、発売から5カ月間で約2千セットが売れたという。川岸上に工場を置く中央印刷(本社・東京都)は、岡谷版ポスターを昨年11月、ことし3月にいずれも千枚限定で発売。アカデミー賞受賞後の第2弾は即日完売した。販売場所の一つになった市観光案内所には約20人の行列ができ、山形村や駒ケ根市から来た人もいたという。
 一方、映画の公開から半年が過ぎ、観光案内所にゴジラ目当てで来る人の数も緩やかに減っているのが現状。市内の商業関係者によると、コラボグッズの販売は版権使用料が高く「大きな利益はない」という。
 盛り上がりをいかに持続性ある観光需要へとつなげるか、市や市観光協会も対策を打つ。市商業観光課は、クイズに答えながらまち歩きを楽しんでもらう「ゴジラ謎解き」キットを税込み千円で販売し、半年で700個以上が売れた。市内各地が会場となった「シルクフェア」などのイベント時には、旧庁舎の内部も公開。同課の担当者は「再訪したいと思わせる、まちの魅力づくりが大切。ゴジラ関連のプロモーション経験を、今後の観光振興につなげていきたい」と話す。
(写真は、ゴジラマイナスワンの岡谷版ポスター購入に並ぶ人たち。ポスターは完売=4月、市観光案内所で)