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「花といえば上伊那」に 情報発信などで産地アピール
2024年5月24日
県上伊那地域振興局は、花の需要喚起や生産振興を通じて地域の関連産業の拡大を目指すプロジェクト「はな(花)高々い〜な(伊那)」を始動させた。SNS(交流サイト)を使った情報発信や魅力講座の開催などを企画して県内有数の花の産地であることを地域内外へアピールし、女性や若者の移住・定住にもつなげる。
伊那市高遠町の桜やバラなど多くの名所に加え、トルコギキョウやカーネーションの生産が盛んな同地域。特にアルストロメリアの生産量は全国1位を誇り、国内総生産量の約3割を占める。一方で、ほとんどが市場出荷であることやハウス栽培により生産現場を目にする機会が少ないことなどから、地元を含めて産地としての認知度は低いという。
プロジェクトは「花といえば上伊那」をキーワードに、イベントなどで配布する「花カード」の作成、魅力講座の開催、子どもたちへの花育、写真共有サイト「インスタグラム」を活用した情報発信などを構想。県伊那合同庁舎の県民ホールには通年で旬の花を展示し、玄関ホールには電子看板を設置して来庁者に花をアピールする。
布山澄局長は「更なるPRで魅力をしっかりと伝え、上伊那で生産された花々を全国の皆さんにより一層、親しんでもらい、笑顔を届けたい」と力を込める。
伊那でキックオフの催し
同プロジェクトのキックオフイベントが23日、県伊那合同庁舎であった。伊那市の生花店「フラワーピース南信州サンスイ」の小池忍社長(46)=同市=によるフラワーアレンジメントと、県生花商業組合理事長の山口元樹さん(59)=箕輪町=によるトークショーを企画。2人は県職員らを前に、それぞれの立場で花の魅力を伝えた。
小池さんは「アルプスに囲まれて暮らす人々」をイメージし、上伊那産のアルストロメリア、カーネーション、アジサイなどを生けた。「上伊那は水も良く、花を育てる技術力も高い」と地域を評価。アレンジメントは「優しい色同士でまとめると調和が取れる」などと解説した。
山口さんはトークショーで「コロナ禍で冠婚葬祭がなくなり、花の需要も止まった」と振り返り、「簡略化されたイベントを元に戻すことは難しい。花を使う機会が減っている」と指摘した。その上で、消費拡大へ「花を贈れば必ず喜ばれる。特別な日だけでなく日頃から花を贈り合う習慣をつくること」などと提案した。
(写真は、上伊那産の花を使ったフラワーアレンジメントを披露する小池さん)