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新作花火5年連続開催見送り 費用と運営体制に課題

2024年5月10日


 全国新作花火競技大会実行委員会は9日、諏訪市役所大会議室で開き、本年度の第42回大会の開催見送りを決めた。コロナ禍を含め、2020年から5年連続の中止となる。安心安全に実施するために必要な開催費用と運営体制の確保が困難だとした。来年度の開催は、選択肢の一つとして「新作花火検討委員会」で引き続き検討するという。
 大会は例年9月第1土曜日に開催し、全国の若手花火師が新作を打ち上げて技術や芸術性を競っていた。19年の第37回大会終了後、人材や予算確保といった課題が持ち上がり、昨年度は物価や人件費の高騰が続いているとして開催を取りやめた。
 検討委員会は諏訪観光協会、諏訪湖温泉旅館組合、諏訪商工会議所、市で構成する。昨年4月の初会合から、ことし3月まで計6回の委員会を開いた。
 8月には、第37回の協賛企業など42社を対象にアンケートを実施。約8割の企業が「金額を見直してほしい」「協賛できない」あるいは無回答という結果だった。
 アンケート結果から、協賛金は約700万円の減収と推計され、従来通りの予算確保が難しい状況であると判断。一方で原材料費高騰による花火代650万円増、交通警備の人件費230万円増などが見込まれ、収支は約1800万円の赤字になると試算された。
 昨年度は、新作花火の代替イベントとして9月末から「諏訪湖オータム花火」を毎週土曜日に実施した。実行委員会では「地域の花火文化と伝統を受け継ぐ新たな取り組み」と評価し、諏訪観光協会など関係団体で継続検討するとした。
 出席者からは「昨年は8月15日の花火大会が新機軸で開催された。新作花火も旧来のやり方にこだわらず、新しい形で継続できるように検討を」といった意見が上がった。
 金子ゆかり市長は「諏訪湖の花火は、諏訪市にとって大切なブランド。気持ちをみんなで共有しながら、未来に向かって進んでいきたい」と述べた。(写真は本年度の開催見送りを決めた実行委員会)