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泊まりでこうじ、みそ造りを 空き家を改装し宿泊施設へ

2024年3月27日


 みそ、甘酒、米こうじなど製造販売の若宮糀屋(花岡拡和社長、岡谷市大栄町2)が、築100年ほどの民家を宿泊施設に改装し、こうじやみそ造りを同店で体験しながら、岡谷の良さを泊まりがけで体感してもらうプロジェクトを進めている。和食文化の要であるこうじを再認識し、関係人口創出と空き家の活用を通して岡谷の街を元気にする計画だ。
 民家は東銀座1に建つ花岡社長の祖父の家で、7日から改装に着手した。学生の実地体験の機会にもなればと、同店取締役の近藤威志さんとつながりのあった関東の学生でつくるリノベーションサークル「DaBo」に声をかけ、設計、施工を依頼。学生たちは、元々の家を生かしつつもアイデアを出し合って、解体して初めて分かったゆがみや傷みに苦慮しつつも、壁や扉で仕切られていた部屋をつなげて広げ、開放的にするなど工夫。元々あった広い土間は土を練り直し、利用者が交流できる場所にする計画だ。
 26日は、学生らが春休み滞在期間中の最後の作業を行い、壁や天井を塗るなど汗を流した。メンバーの明治大学理工学部1年生は「貴重な体験をしている。工具も初めて触ったけど、一通り使うことができるようになった」と自身の成長を実感。芝浦工業大学建築学部3年生で、DaBoの金山哲也共同代表(22)は「天井が低い物件だが、大人数泊まれる場所になるので、広がりを感じられるようにしていければ。こうじ造り体験という日本の食文化に触れるので、和風の雰囲気を感じられるように造っていきたい」と意気込む。
 同店の営業女将(おかみ)、花岡慶子さん(44)は「岡谷に来て、この時だけ、ここだけの体験をして帰ってもらいたい。物ではなく、体験や体感を持って帰ってもらったらうれしい」と期待していた。
 宿泊施設の最大人数は8人。こうじ造りは通年で、みそは春のみ。改装は4月中には仕上げる予定で、クラウドファンディングなどで費用を調達し、6、7月ころから体験を始めるという。(写真は作業を進める学生と花岡慶子さん=左=)