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諏訪湖の初島周辺しゅんせつ始まる 初の利水・生態系保存で

2024年3月5日


 県諏訪建設事務所による諏訪湖のしゅんせつが、諏訪市湖岸通り沖の初島周辺で始まっている。これまでに治水や水質浄化目的の工事は各所で行ってきたが、利水・生態系保全を目的とするのは初の試み。現状、周辺の水深はおおむね約2メートルで、湖底の泥や土砂をすくい、約3メートルまで水深を確保する。工事は春の大型連休前の4月中に完了させる計画。
 昨年3月に改定した総合計画「諏訪湖創生ビジョン」に新たな取り組みとして明記され、諏訪湖創生ビジョン推進会議にワーキンググループを設置。本年度から勉強会や意見交換などの会議を重ね、工事箇所の提案・選定を進めてきた。
 「ヒシ繁茂を抑えるべき」「船の運航しやすい環境を整える必要性がある」などの意見を踏まえ、メンバーから希望として挙がった11カ所を必要生や公共性、有効性の観点から点数化。最も高かった初島周辺で試験的に行うことを決めた。
 測量を経て、2月上旬に着工。台船上に重機を乗せ、湖に住む魚の生態系に配慮し、「汚濁防止用フェンス」を設けた区域内で作業を進める。同事務所によると、除去量は2400立方メートルを見込み、土砂は舟渡川河口付近に一時的に陸揚げし、固化剤を混ぜて処理するという。土木・舗装、解体工事などを行うシガテクノス(諏訪市四賀)が工事を請け負った。事業費は約9000万円。
 一帯は観光遊覧船の航路である一方、ヒシの繁茂区域でもあるため、工事前後の状況を比較し、しゅんせつによって繁茂を抑えられるかも検証する。
【船で見学勉強会7日まで事前予約】
 諏訪湖創生ビジョン推進会議は14日(木)午前10時から、工事実施箇所を遊覧船に乗って見学する勉強会を開く。一般の参加も受け付ける。
 地域住民に現場を間近で見てもらい、しゅんせつについて理解を深めながら、より良い湖の在り方を考える機会にしてもらおうと企画した。
 参加無料。定員60人。事前予約が必要で締め切りは7日(木)。当日は諏訪湖観光汽船遊覧船乗り場に集合する。申し込み、問い合わせは事務局の同局企画振興課(電0266・57・2901)へ。(写真は湖底の土砂をすくい上げる台船上の重機)