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和太鼓文化継承へ ブラジルの4人御諏訪太鼓で製造技術学ぶ

2024年2月22日


 国際協力機構(JICA)の日系社会研修生としてブラジルから来日した4人が、御諏訪太鼓会館(岡谷市神明町)を拠点に、日本各地で和太鼓の演奏や製造の技術を学んでいる。母国でそれぞれの太鼓団体のリーダーを務める4人は3月下旬までの約3カ月間、本場の技術と文化を学び、帰国後は経験を生かして和太鼓の講師として活躍するのが将来の夢だ。
 JICAが中南米の人々の研修を自治体や団体などに委託し、日系社会の発展と日本文化の継承を目指す「日系社会研修」の一環。4人は「太鼓の指導者育成」の研修生として来日した。24(土)25(日)両日に熊本県で行われる日本太鼓全国講習会を受講し、帰国後に指導者となるために必要な日本太鼓財団が認定する「3級公認指導員」の資格を得るのが最終目標という。
 研修生は、中原エデルソン一男さん(25)、渡部ミレーネひかりさん(23)、デファリアドナシメントジョアンマルセロさん(28)、伊豆味エンリッケゆきおさん(34)。1月に来日して以降、御諏訪太鼓の古屋邦夫さんと矢ケ崎勇健さんに和太鼓の打ち方を、山本麻琴さんには製造方法を教わるほか、埼玉県秩父市の太鼓団体に研修に赴き、曲や指導法などを学んできた。
 21日は、同会館で和太鼓の製造研修。水を含んで柔らかくなった牛革に金具を通してフックを作り、そこにロープをかけて革を伸ばした。専用の台に太鼓を載せ、上に乗って体重をかけて更に張り伸ばしていくという。公認指導員の試験は日本語で行うため、研修中は日本語を使用するのが原則。4人は山本さんらと流ちょうに会話しながら真剣な表情で作業していた。
 4人によると、ブラジルでは和太鼓が若年層を中心に広まり、数多くの団体が部活動のように日々打ち込んでいる。中原さんは「日本の太鼓のように何年経っても、しっかりと響く太鼓を作れるよう技術を学びたい」と目を輝かせる。研修の様子をSNS(交流サイト)で母国の仲間に紹介しているという渡部さんは「(日本に来られたことは)とても良い経験だし感謝している。ブラジルで教えられるようになり、太鼓文化を継承するのはとても大事なこと」と話していた。
 4人は試験を受けた後、同会館での研修を続けるほか、大分県や静岡県なども訪れて経験を積む。最後に日本太鼓財団主催の日本太鼓ジュニアコンクール(3月24日、さいたま市)にスタッフとして参加し、27日(水)に離日する予定。
(写真は、和太鼓に張るための革の加工に取り組む研修生=21日、御諏訪太鼓会館)