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木喰仏像など登場 岡谷美術考古館「隠れた名品展」

2024年2月15日


 岡谷美術考古館の収蔵作品展に、江戸時代の僧侶、木喰(もくじき)上人(1718〜1810年)が諏訪地域を訪れて手がけた木像2体と、約半世紀ぶりの展示となった太刀2振りが登場した。移転開館10周年に合わせて企画した、普段展示する機会の少ない作品を集めた「美術考古館の隠れた名品展」の展示替えでお目見え。本展では東郷青児、高浜虚子、西岡瑞穂の書や油彩画などと合わせ、19点が3月3日(日)まで楽しめる。
 木喰は生涯で諏訪に5回訪れ、岡谷市内では中屋区に定宿があったという。本展で並べる「文殊菩薩(ぼさつ)像」「拝滝不動明王像」はいずれも、最後に来訪した1806年に手がけた。晩年の作品とあって単純に様式化された造形が際立ち、優れたデザイン性が見て取れる。同館職員は「菩薩像の笑顔など、親しみやすい独特な造り。現代人から見ても造形が面白い」と話す。
 太刀2振りは、昭和40年代に岡谷図書館に寄贈され、1970年の考古館開館後に移管された。鎌倉時代初期に制作された「諏訪正恒」は、古青江(こあおえ)の作風の細く優美な形、樋(ひ)と呼ばれる刀身に彫られた細長い溝が2筋あることが特徴。南北朝時代の「細樋国綱」は肥後国出身の刀工国綱、もしくは千代鶴守弘の作とみられ、樋にはさびを防ぐため朱が塗られている。職員は「なぜ岡谷にあるのかもはっきりしないが、名刀とみられ、刀剣愛好家の間でも『岡谷といえば』と知られている」としている。
 午前10時〜午後6時。毎週水曜と祝日の翌日は休館。問い合わせは同館(電0266・22・5854)へ。 (写真は木喰上人が諏訪で手がけた仏像)