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多才な顔に触れて 岩波其残展 下諏訪町の諏訪湖博物館で来月25日まで
2024年1月25日
文出村(現・諏訪市豊田文出)出身の画人・俳人で、晩年の数年間を下諏訪町で過ごした岩波其残(1815〜94年)に焦点を当てた企画展が、町諏訪湖博物館・赤彦記念館で開かれている。2014年、町内の個人宅から数百点に上る寄贈を受け、俳画類などの整理が一段落したことから、町制施行130周年に合わせて成果を見てもらおうと計画。ほぼ初公開の作品や資料など約100点を並べ、現代の「カワイイ」にもつながる多才な表現者の顔に触れてもらう。
同館によると、其残は江戸時代末期から近代まで生涯を通して俳画や楽焼などの創作に力を注いだ。幼少期から創作にたけ、俳句や絵にとどまらず、いち早く写真を取り入れるなど〝マルチアーティスト〟として活躍。晩年の1886(明治)19年ころから90(同23)年ころまでは町の第5代町長を務めた小口正衛の元で過ごし、数多くの作品を小口家に残した。これらが「小口家コレクション」として後に町へ寄贈された。
企画展は「癒しのアートKIZAN〜カワイイの原点 岩波其残〜」として開催。小口家にあった蚊帳(2㍍×4㍍)に描かれたいろいろな形で水に親しむ人々を描いた絵、獅子の香炉、俳句と共に絵が描かれた扇子などが並ぶ。昨年度、行ったミニ企画展でも並べたイラスト画集は、テーマで描かれたものもあれば、かわいらしい動物、当時の人たちの生活を捉えた作品まで多様で、目に映る全ての物の機微に興味を示した其残の姿がうかがえる。
同館学芸員の太田博人さんは「柔らかい線で、ぱっと見て『かわいい』と思える優しい絵は見る人を和ませる。現代の漫画やアニメの原点ともいえる作品を、じっくり楽しんでもらえたら」と話す。
2月25日(日)まで。開館時間は午前9時〜午後5時(最終入館4時半)で、月曜と祝日の翌日は休館。
問い合わせは同館(電27・1627)へ。(写真はかわいらしい作品が並ぶ会場)