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ルビーに新たな人工育成法—南信工科短大・信大工学部が世界初—

2024年1月19日


 県南信工科短期大学校(南箕輪村)は18日、信州大学工学部(長野市)手嶋・林・山田研究室との共同研究で、ルビー結晶の新たな人工育成法を発見したと発表した。従来より低い温度で、溶液から単結晶を作る世界初の方法という。簡単な装置で高品質なルビー結晶を作ることが可能で、新たな材料開発などへの応用などが期待できるとする。
 研究は、物質の融点より低い温度で結晶を育成する「溶液法」の中の「フラックス法」。従来は、ルビーの主成分となる酸化アルミニウムと酸化クロムを溶質とし、酸化モリブデンを主成分とした溶媒と一緒に電気炉に入れて1100度に温め、液体にする。溶媒を蒸発させるか、常温まで温度を下げることで結晶化できるという。
 新たに発見した方法では、あらかじめ同じ3種類の物質を固体の状態で混ぜて熱し、化合物を生成。それを溶媒と共に電気炉で750度に保つことで、一緒に入れた酸化アルミニウム基板の表面にルビーの結晶微粒子が付着する。使用した基板は厚さ2㍉で、結晶は3〜4マイクロメートルの層になるという。
 2017年に共同研究を始め、21年に中心になって取り組む同短大機械システム学科講師で、工学博士の鮎沢俊輔さん(35)がこの現象を発見。約3年かけて仕組みを解明し、筆頭著者として論文にまとめて発表した。2日には、ナノテクノロジーを扱う国際専門誌「スモール」に掲載された。
 ルビーは耐摩耗性の高さから、時計の軸受などに使われる。同短大で、研究成果を報道陣に説明した鮎沢さんは「さまざまな分野の機能性材料などで応用できると思っている。共同研究を続け、社会実装できる技術にしたい」などと展望を話した。
(写真は、発見した方法で育成したルビー結晶を手にする鮎沢さん)