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「世の中」三分六厘 諏訪大社下社春宮で筒粥(つつがゆ)神事

2024年1月16日


 諏訪大社の筒粥(つつがゆ)神事は14日夜から15日朝にかけ、下諏訪町の下社春宮で執り行われた。一年間の農作物の豊凶、世相を占う伝統の神事で、「世の中」は五分満点中の「三分六厘」。五厘に近い六厘というが昨年より一厘上がり、大社は「正月早々に災害はあったが、以後は平穏無事、穏やかな一年になりそう」と見越した。
 「諏訪の七不思議」の一つに数えられる特殊神事。43種類の農作物名と「世の中」を記したヨシの茎、計44本を束ねた「御束」を、白米と小豆、水が入った釜で夜を徹して炊き上げる。茎に入った粥の量などで、農作物の出来や世相を占う。
 農作物は「上」が20(昨年13)「中」が21(同27)「下」が2(同3)種類で、上の伸びが特徴的。「上の上」は8(同5)種類。アワ、ヒエ、キビで上の上が続き、大社は「あまり見たことなく不思議」としたほか、果物も上もしくは中でも上の状態で「あらゆる作物が豊かに実るのでは」とした。
 14日夜には、北島和孝宮司ら神職8人が筒粥殿に入り、木の棒を両手でもむ「切り火」で火を起こして釜をかけ、大祓詞(おおはらいし)を繰り返し唱えた。朝は大総代も参列して神事が執り行われ、神職がヨシの茎を1本ずつ割って豊凶を発表した。
 原弘昌権宮司は「おかゆの状態、入りもとても良かった。米が中で少し心配。急に天災が起きるなど変化があるというよりは、穏やかな年になるのでは」と話した。
 下諏訪地区大総代の藤原均会長は「能登の震災を含めて世の中が沈み気味だが、これからどんどん良いことが起きる年になってほしい。昨年より良くなるはず。期待したい」と話していた。(写真は大祓詞を唱えながらかゆをたく神職)