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上農産の和牛 焼き肉に—消費拡大で動物コース2年—

2023年12月21日


 上伊那農業高校(南箕輪村)生命探究科動物コースの2年生が、同校で育てて出荷した黒毛和牛を買い戻し、焼き肉にして生徒に味わってもらっている。和牛の消費量が減っているといい、肥育農家の現状を伝え、消費拡大につなげようと計画し、クラウドファンディング(CF)などで資金調達した。20日は2年生に振る舞い、魅力を知ってもらった。
 切っかけは、今春に関西地方で開かれた研修会への参加。県産の牛肉ブランド「信州プレミアム牛肉」が県外では浸透している一方、地元の認知度が低いことを知った。校内アンケートでも多くが和牛を食べたことがない—と回答しており、「未来の消費者を育てよう」と始めた。
 和牛は2021年5月に生まれた雌の「上農さつき」で、22年2月に出荷。松本市の肥育農家が育て、信州プレミアム牛肉のA5ランクに認定された。生徒たちはCFのほかに校内で寄付を募り、集まった約80万円を元手に、半身に当たる250㌔を買い戻した。
 この日はスライスした肩ロースなどが振る舞われた。多くの生徒が集まり、長い列ができ、その場で焼きたてに舌鼓を打つ姿も。生徒の一人は「やわらかくて、これまでに食べた肉の中で一番おいしい」と太鼓判。「社会人になったら、買って食べたい」と話した。
 飼料などの高騰で経営が逼迫(ひっぱく)する肥育農家もいるという。中心で進めてきた生徒は「和牛の単価は上がらず、大変な思いをしている農家は多い。まずは和牛を知ってもらおうと始めた。将来の消費拡大につながる切っかけの一つになれば」と期待を寄せていた。
 振る舞いは19日に1年生を対象に始め、きょう21日は3年生に味わってもらう予定。
(写真は、牛肉を焼く動物コースの2年生)