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純米吟醸酒「横山維者舎(いじゃや)」ことしも

2023年12月12日


 伊那市横山の住民有志でつくる「横山維者舎(いじゃや)」が育てた酒米で、日本酒「信濃錦」醸造元の宮島酒店(同市荒井)が仕込む純米吟醸酒「維者舎」が、ことしも完成した。5年目の取り組みで、中村静男舎長(77)は「楽しみにしていた人に昨年よりも良いと言っていただける味になった」と話す。11日、市内の酒販店などで販売を始めた。
 自分たちが飲む酒を自分たちが育てた米で造ろうと、2019年に栽培を開始。地域活性化や、魅力の発信にもつながっている。ことしも、地区内の水田3カ所計約37㌃で酒米「美山錦」を低農薬で育て、9月に約2㌧を収穫。長雨の影響で不作だった昨年より収穫量は増えたといい、1.8㍑の一升瓶換算で約1100本分になるという。
 乾燥、精米を終えて同店では月下旬ころから仕込みを始めた。宮島敏社長(61)によると、猛暑の影響で米のでんぷん組織がしまっていて溶けづらく、醸造で甘さを引き出した。「香りも良く、ジューシーに仕上がった」と出来栄えを話す。精米歩合50%で、アルコール度数17%。価格は1.8㍑3560円、720㍉㍑1780円(いずれも税込み)。
 9日には、地元の春日社に関係者約20人が集まり、新酒を奉納。中村舎長は「例年に比べて甘口で口当たりがいい」と感想を話し、「毎年、大変だが、最後にここに来て飲むと良かったとみんなが思う」と笑顔を見せていた。
(写真は、新酒を奉納した関係者=9日、春日社で)