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下諏訪北小 アマゴ飼育ことし中止に
2023年12月4日
下諏訪北小学校の伝統だったアマゴの飼育学習が、ことしはできなくなった。夏の猛暑の影響で卵が十分に確保できなかったためで、1988年の開始以来、中止は初めてとみられる。来年度以降も卵の供給が安定するかは不透明な状況で、伝統の継承に黄信号がともっている。
北小は例年11月ごろ、諏訪湖漁業協同組合(諏訪湖漁協)を通じ、アマゴの発眼卵を購入。1、3、5年が専用水槽で育て、翌年の2月ごろに砥川に放流してきた。本年度も2千粒を受け取る予定だったが、10月に諏訪湖漁協から「ことしは卵の提供ができなくなった」と連絡を受けた。
北小向けのアマゴ発眼卵を養殖するのは、泰阜村の栃城養殖漁業生産組合。同組合の木下藤恒さんによると、夏の少雨で養殖池が渇水状態にあった上に、高温で水温が上昇して酸素不足となり、親魚が死んだり生育不良だったりしたため、十分な採卵ができなかった。木下さんによると「50年の歴史で初めての事態」だったという。
諏訪湖漁協と栃城養殖漁業生産組合のパイプ役となっている県漁業協同組合連合会(県漁連)は、北小のためにアマゴの卵を「どうしても確保したい」と、業者探しに奔走したという。しかし、飼育に適したアマゴの発眼卵を大量に出荷できるのは、国内でも栃城養殖漁業生産組合ただ一つで、代替業者はなかった。県漁連の藤澤孝男参事は「北小児童にはかわいそうなことをした」と話す。
児童たちは残念がっているものの、「仕方がない」「またいつか育てたい」と冷静に受け止めている。栃城養殖漁業生産組合の木下さんも「水温が安定している地下水を活用するなど対策を取り、来年からは出荷を再開したい」と意気込むが、天候を相手にどこまで対応できるかは、「実際にやってみないと分からない」状況でもある。
諏訪地域でアマゴを飼育しているのは、北小だけ。校舎壁面にレリーフが飾られたり、運動会などで4年生が披露したソーラン節でも成長する姿を表現したりするなど、同校のシンボルになっているだけに、再開が望まれている。(写真は、「元気に育ってね」と稚魚を砥川へ放流する児童(2月))