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アンケート式ごみ箱を設置 行動心理に着目し高校生が実証実験
2023年10月10日
東京都市大学塩尻高校(塩尻市)2年で、普通科探究コースを選択する小口萌々花さん(16)=岡谷市神明町=が環境問題と行動経済学についての研究を湖畔公園で始めた。「ナッジ理論について〜人間の心理を使ってごみを減らそう〜」をテーマに掲げ、8日には実証実験を兼ねて同公園に2種類のごみ箱を設置。「地元がきれいな街になってほしい」との思いを込めつつ、身近な環境問題と人間の行動心理を追いかけている。
総合探究と科目「探究」時間の一環で、生徒それぞれがテーマを設定して取り組む。小口さんは心理学と経済学に興味があり、教諭と話す中で、二つに関わる「行動経済学」の先に生活に密接に関係している「ナッジ理論」を知ったことで研究テーマとして構想を巡らせ始めた。
小口さんによると、近所でぽい捨てをする人を見かけたことが環境問題を考える切っかけになったという。「少しでもきれいな街にしたい。どうすればぽい捨てがなくなるのか」と考えを巡らせる中で、「投票式吸い殻入れ」を設置し、ぽい捨てが約40%も減った英国の事例を見つけ、「自分たちの街でも取り組んで減っていけば」と岡谷版の計画を始めた。
設置したごみ箱は燃えるごみ専用で、「好きな食べ物は?」と質問を掲示し、入れる先に「最初に食べる」「最後に食べる」と表示したアンケート機能付きのものと、何も書かれていない2種類。投入されるごみの量から、利用度の違いを毎日データにまとめ、人間の行動を分析するという。
小口さんは「研究で設置するけれど、最終的には街から少しでもごみがなくなり、ぽい捨てがなくなってほしい」と期待し、公園を利用する住民へは「楽しみながらごみ箱を利用してほしい」と呼びかける。
設置は21日(土)午後1時まで。毎日の登下校時に見回り、投入された量をデータ化し、12月に探究発表会で結果を紹介する予定で、3年次に論文にまとめるという。
▼ナッジ理論 人が強制的にではなく、より良い選択を自発的に取れるようにする方法を生み出すための理論。2017年にノーベル経済学賞を受賞した米国出身の経済学者リチャード・セイラーさんにより提唱された。
(写真は、アンケート機能付きのごみ箱を設置した東京都市大学塩尻高校の小口さん)