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国際的品評会で「世界一」下諏訪町田村さんのライスビール「白椿」
2023年9月14日 「ムギクラブルーイング」のブランド名で、下諏訪町萩倉でビール造りに取り組む田村治男さん(37)=東町上=のクラフトビール「白椿(しろつばき)」が、8月に英国で開催された国際的なビール品評会「ワールド・ビア・アワード2023」の米を使ったライスビール部門で、最高位に輝いた。初出品で初受賞の快挙を成し遂げた田村さんは、「世界一の酒がある町」として下諏訪のアピールに貢献したい考え。
白椿は大麦麦芽、ホップの原料に県産の酒米「山田錦」とテングサを配合。4月から仕込みを始め、6月初めに出品した。国内審査を経て、8月に英国の出版社が主催する品評会で、白ブドウ(マスカット)のような香りと、すっきりとした味わいが評価され、現地の専門家が「ワールドベスト・ライスビール」に選んだ。ことしは55カ国約3300銘柄、国内からも103銘柄が出品されたという。
世界一の原動力となったのは、下諏訪の水。宇都宮市出身の田村さんは昨年4月、萩倉に醸造工場を設けてビール造りを始めたばかり。もともとは東京でカメラマンをしていたが、大好きな日本酒造りに携わりたいと町内にあった蔵元に転職。蔵元の経営破綻で山梨県のクラフトビール会社に移り、2年間の修業の後、「おいしい水」を求めて、酒米造りで土地勘のあった萩倉にビール工場を建てた。
ライスビールは酒造りで培った経験を生かし、洗米した上で、米を水に浸して原料に溶けやすく処理してから配合している。田村さんによると、下処理をきちんと行うことで、米のエキスが溶け出しやすくなるという。審査員に評価された軽やかでフルーティーな味わいは、黒曜石に育まれた下諏訪の軟水と、丁寧な下処理によって生まれた。
「醸造を始めて2年で、大きな賞が取れてうれしい」と田村さんは喜びを語り、諏訪御湖鶴酒造場(御田町)の純米吟醸酒が、世界的なワイン品評会の日本酒部門で最優秀賞を受賞したことに触れながら、「世界一のビールと酒で下諏訪を盛り上げたい」と話した。更に顔見知りの「萩倉の里山を耕作する会」が、工場近くの遊休農地を活用して栽培しているブルーベリーを使ったビール造りにも取り組みたい—と意欲を示した。
白椿は330㍉㍑入り572円(税込み)で、諏訪地方の酒店で販売している。
15(金)16(土)両日午後5時から、JR下諏訪駅前通りで開かれる下諏訪商工会議所主催のまち歩きイベント「ヨルクレバ」では、県産の酒米を使って下諏訪飲食店組合と共同開発した白椿の姉妹品「ライスラガー」を、同組合が駅前広場の屋台村で試飲販売する。(写真は、萩倉の醸造工場で、「白椿」を持って喜びを語る田村さん)