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延焼地徐々に再生か—県環境保全研究所 霧ケ峰高原で調査—

2023年8月26日

霧ケ峰火災の植生影響調査230825-1
 県環境保全研究所(長野市)は25日、5月の大型連休中に林野火災があった諏訪市郊外の霧ケ峰で、植生と昆虫に関する調査をした。焼け焦げたレンゲツツジなど木本への影響は大きかったものの、芽吹きの時季だったニッコウキスゲやアザミなど草本への影響は「もう少し様子を見ないと生育が順調かどうかは分からないが、全てが失われる状態にはなっていない」とした。
 植生と昆虫への影響調査は6月19日に続いて2回目で、同研究所自然環境部長の須賀丈さんと、主任研究員・生物多様性班長の尾関雅章さんが、延焼地(富士見台)と非延焼地(車山肩)に、ニッコウキスゲを鹿の食害から守る電気柵の中と外に設けた長さ50㍍、幅3㍍の調査区で種類と数を調べた。
 延焼地では、植物から6月には確認できなかった新しい芽や茎が生えている様子が確認でき、焼け焦げた幹の下方から新たな葉を生やしたレンゲツツジや、例年通り種子を付けているニッコウキスゲが見られた。尾関さんは「来年以降も開花状況を調べていく必要があるが、焼け死んだわけでなく再生しているのでは」とした。
 昆虫は、この時季に霧ケ峰で見られるチョウやマルハナバチなどの訪花昆虫を主に柵内で確認。須賀さんは「印象としては花がある柵内に多い。燃えた影響は分からないので今後、分析する必要がある」と話した。
 6月までに調査を終えた鳥類、9〜10月に行う鹿の頭数に関する調査も含め、結果はまとめて来年2月の霧ケ峰自然環境保全協議会に報告する。
(写真は、延焼地の富士見台を調べる研究員。焼け焦げたレンゲツツジからは、新しい葉が生えているのが確認できた)