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イルフ開館以来の最多来場者 「かがくいひろしの世界展」好評

2023年8月24日

ネット230807童画館かがくい展後期始まった②
 イルフ童画館で開催中の企画展「かがくいひろしの世界展」が好評だ。平均で一日600人ほどが訪れ、昨年平均の10倍となる千人以上が来館する日も。開館以来最多とみられ、多くの子どもたちを笑顔にした絵本の人気ぶりが伝わってくる。
 絵本作家かがくいひろしさん(1955年〜2009年)の没後初となる回顧展。千葉県内で特別支援学校の教諭を務めた後、50歳で作家デビューした。類計発行部数900万部を超える「だるまさん」シリーズをはじめとする16作品をわずか4年で刊行。長野県を皮切りに巡回し、ことしは岩手県、来年は高知県、兵庫県で開催を予定する。
 来館者は県外からも多く、チケット販売やミュージアムショップのレジカウンターに列ができることも珍しくないという盛況ぶりだ。展示室は親子連れを中心に多くの人でにぎわい、絵本を手に取ったり、記念写真を撮ったりしている。
 市出身の童画家・武井武雄の作品を多く収蔵し、魅力発信、調査研究に取り組む同館。別の展示室では武井作品の企画展も開催しており、チーフ学芸員の河西見佳さんは「かがくい先生を目当てに来られて、武井に感動して帰る方も多い。比較したり共通点を探したりして、両方楽しんでもらえれば」と期待する。
 後期展示では、「だるまさん」シリーズの原画以外を入れ替え、絵本原画6作や未発表作品、ラフなど150点以上が新たに登場した。「みみかきめいじん」「おしくら・まんじゅう」「はっきよい畑場所」など、作家人生の後半に手がけた作品を中心に飾る。
 柔らかく温かい絵柄で、身の回りのものを擬人化したキャラクターが登場するのが特徴。「がまんのケーキ」の原画は、特別支援学校で今なお使われている、かかがくいさん手製の紙粘土の誕生日ケーキと共に並べる。「だるまさん」続編などの未完作品、81冊のアイデアノートの一部もあり、絵本作家としての活動は短い期間だったが、障害児教育の現場で培った知見から生まれた豊かな発想がうかがえる。
 河西さんは「未発表の作品やアイデアノートなど、かがくい先生のことがより分かる資料。これだけの数の原画は、なかなか県内で見られる機会はないので、ぜひ来てほしい」と話す。
 9月16日(土)まで。開館時間は午前9時〜午後6時。毎週水曜休館。問い合わせは同館(電0266・24・3319)へ。