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諏訪市議会初の修正動議可決 市文化センター改修予算は削除
2023年6月29日
諏訪市議会6月定例会は28日、最終日の本会議を開いた。JR上諏訪駅周辺の一体的整備を巡り、森山博美議員(市民第一)ら8議員が、本年度一般予算案から市文化センター基本設計業務委託料の削除を求める修正動議を提出。修正案は第2会派「市民第一」と無所属の計8議員の賛成多数で可決された。市提出の議案に対する修正案が可決されるのは1941年の市制施行以来初めて。駅周辺の一体的整備は計画の見直しを迫られることになった。
駅周辺の一体的整備は、金子ゆかり市長が3期目マニフェストの「最重要課題」の一つに掲げていた。文化センター改修を皮切りに、駅西口広場、諏訪湖イベントひろば(旧東洋バルヴ諏訪工場跡地)の3事業を段階的に整備するとしていた。
文化センターの改修費は2020年の試算で約28億円と見積もられ、市は第一歩となる基本設計業務委託料などを持った補正予算案を6月定例会に提出。財源には、文化庁の補助金769万円などを充てるとした。
修正案は、補正予算から文化センター改修事業費1819万円を削除し、総額221億9485万円とするもの。
森山議員は「一番の問題は3事業を一体で進めること。駅周辺の事業の在り方、関係性と財源計画を明らかにし、まずは市民への説明を果たして」と提案理由を説明した。
討論では、高木智子議員、小泉正幸議員、藤森綾子議員、近藤一美議員、大津学議員、岩波万佐巳議員、井上登議員の7人が修正案に賛成の立場で発言。「市民に対しての説明がない」「3事業全体の方向性を示して」「駅周辺の一体的整備は100億ともいわれる大開発。財政の悪化が懸念される」などと再考を求めた。
一方、第1会派「新政すわ」所属の牛山正議員、牛山実弦議員、小山博子議員、吉澤美樹郎議員、藤森靖明議員、伊藤浩平議員の6人が修正案に反対。「手順に落ち度はなく、財源確保の見通しがある」「改修を遅らせるメリットはなく、このままでは文化財を解体せざるを得なくなる」「代替案を提示すべき」などと訴えた。
議長を除く14人で起立採決を行い、8議員が原案反対・修正案賛成の意思を示した。その他の項目には異義がなく、補正予算は修正案の通り可決された。
閉会後、森山議員は「9月議会の受動喫煙防止条例のときにも議論ができず、何をすれば議員の意見が通るのかという部分があった」と話し、「これが本来の議会の姿。今後も一つ一つの議案に向き合って議論していきたい」と語った。
金子市長は閉会後に会見を開き、市民に向けたメッセージを発表した。「市議会の決定を尊重する」とした一方で「今後の見通しが不透明になり、国などの補助金の活用が困難になることを危惧する。どのように事業を進めるのが適当か、市民の皆さまの意見を聞き検討したい」と述べた。
地方自治法により、議決に異義がある場合、市長は「再議」として審議と議決のやり直しを求めることができる。金子市長は「制度は承知しているが、よく吟味したい。きょうのところはコメントを差し控えたい」と話した。(写真は補正予算の修正動議を可決した諏訪市議会)