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造立700年重み共有 「木造十一面観音立像」記念祭が開幕
2023年5月3日
辰野町上島にある国重要文化財「木造十一面観音立像」の造立700年祭が2日、始まった。毎年5月の例祭に合わせて企画。観音像の御開帳に加え、僧侶や実行委員らによる散華行列、大般若転読と護摩法要があった。きょう3日も護摩供養を行う。
観音像は鎌倉時代末期の1323年に善光寺仏師の妙海によって制作され、高さ89.4センチの大きさ。カヤ材の一木造りで、若々しくりりしい顔立ちが特徴。長らく秘仏とされ、保存状態も良いことから「信濃の中世における仏像の白眉」と評される。
記念祭では僧侶や奉賛会女性部ら15人ほどが列を作り、地区集会施設のがおん伝承館から観音堂へ。沿道の見物人には、ハスの花びらをかたどった紙をまいてゆっくりと歩いた。観音堂の前に建立された回向柱には、触って御利益を得ようとする参拝者が集まり、それぞれの願いを託していた。
観音堂では、通常は別々にする転読と護摩法要を同時に執り行った。厳かな雰囲気の中、香住寺の備前秀俊住職が護摩木を赤々と燃やす一方、4人の僧侶が経文を唱え、箱から出した教典を流れるように転読。参拝者の願いが成就するよう祈った。
区と奉賛会は、10年前から石碑の整備や資金の積み立てなどの準備を進め、昨年春に実行委員会を設立。回向柱の準備や建立、観音像に関する講演会、ポスターの制作などに取り組んで来た。
竹入俊男実行委員長は「700年間という長きにわたって守ってきた先人の苦労と、観音像の持つ重みを改めて感じた。皆さんに観音様のご加護が届けば」としていた。
3日は、午前9時〜午後4時に御開帳。護摩供養は例年の1回から増やし、午前10時と午後2時から。(写真は護摩供養と大般若転読をする僧侶たち)