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「教科書に見る製糸業」展 シルクフェアに合わせ開催

2023年4月28日

ウエブシルクフェア関連展示
 29日(土=祝日)に市内10会場で行われる「シルクフェアin岡谷」で、岡谷近代化産業遺産を伝える会(宮坂春夫会長)は、中央町の喫茶「ほっとサロン心和」で「教科書に見る製糸業」と題した展示会を開く。小、中、高校の社会科や日本史の教科書で、日本の近代化を支えた製糸業がどう取り上げられているか検証し、問題点などを指摘している。
 同会では、「岡谷市民のアイデンティティーは製糸業に負うところが大きいものの、一般の人にとっては『女工哀史』や富岡製糸場が世界一位の生糸王国を成しえたという知識程度ではないか」とし、「その原因は誇張された小説や映画に加え、小学校から中学、高校の歴史教科書にあることに気付いた」という。この観点で、歴史教科書が正しく製糸業を伝えているか、岡谷のことをどう扱っているか—など検証した結果を展示する。
 同会によると、小学校6年の教科書は「富岡が製糸の全てのような表記」「富岡以外は出てこない」状況。中学の教科書だと、「製糸業はわずかな記述だったり、紡績を主産業とみていたりする。的確に製糸業を捉えている教科書も、富岡の先入観がみえる」という。高校では「紡績が主で、労働問題の特異な部分を諏訪地方を名指しで掲載するなど偏見に満ちている」教科書もあった。岡谷蚕糸博物館所蔵の写真を無断掲載している教科書も多かった。
 同会によると、「出版社に間違いなどを抗議しても、『文部科学省の検定がされている』として変更に応じないのが現状」という。宮坂会長は「改めて教科書を見ると、岡谷市民としては指摘したいことがたくさんある。そんな現状に関心を寄せてもらえれば」と見学を呼びかける。
 29日の開場時間は午前11時〜午後5時で、同会関係者の解説もある。入場無料。
(写真は、興味深い内容の「教科書に見る製糸業」展示会)