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バルブシステム初搭載の7号機など打ち上げ成功〜SUWA小型ロケットプロジェクト〜
2023年3月20日
諏訪5市町村と信州大学、地元企業などが連携して取り組む「SUWA小型ロケットプロジェクト」は19日、前回の改良機と7号機の2機を諏訪市の諏訪湖ヨットハーバーで打ち上げた。同プロジェクトとして初めてバルブシステムを搭載した7号機は高度約178㍍まで上昇し、予定通り空中で分離。改良機も無事に打ち上がり、プロジェクトマネジャーの信州大学工学部、中山昇准教授は「ほぼシミュレーションの通りにいった。大成功」と評価し、笑顔を見せた。
これまで秋田県能代市で4機、2020年以降は諏訪湖で2機を打ち上げており、今回は同日に2機を発射した。
7号機は全長1.82㍍、直径15.3㌢で、エンジンは、ポリプロピレンを使った固形燃料と亜酸化窒素を用いた液体燃料のハイブリット型。同プロジェクトが開発したバルブシステムを初めて搭載し、開閉などをプログラムで制御して液体燃料の注入やエンジンへの注入量を調節し、発射をコントロールした。
システム搭載のため、機体の直径を6号機よりも約5㌢大きくして積載可能な量を増やし、固形燃料の内側を星形に形成して表面積を2倍にすることで、推力を約1.5倍にした。
ヨットハーバー内の打ち上げ台から発射された7号機は、約6秒で最高高度に到達し、16秒ほどで警戒区域内に無事着水。船でスタッフが回収した。見学者からは打ち上げと同時に歓声と拍手が湧き上がった。
中山准教授は「バルブシステムが成功したことは大きい。推力の調整なども可能になるので今後、更に技術を確認していきたい」と話した。
改良機の打ち上げは、技術伝承などを目的に高校生らも参加した。約8秒で高度約309㍍まで到達し、機体分離とともに搭載した岡谷工業高校の生徒作のペイロード(缶サット)を放出。缶サットからは、2秒に1回の頻度で無料通信アプリ「LINE(ライン)」に高度や温度などのデータが送られた。
缶サットを制作した一人、岡谷工高電気科2年の奥大地さん(17)=原村=は「打ち上げも、予定していたミッションも全て成功して本当にうれしい。一つのものをみんなで作り上げる喜びを感じた」と満面の笑みで話した。
諏訪圏市町村と国の支援を受けての打ち上げは今回で終了するが、信州大学と岡谷市は今後も培った技術や経験を生かし、研究、実験を続けていく予定。
(写真は、諏訪湖ヨットハーバーから打ち上げられた7号機)