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心電図 救急車から医療機関へ〜上伊那広域消防が南信地域で初導入〜
2023年3月7日
上伊那広域消防本部は6日、心筋梗塞などの心疾患が疑われる傷病者の心電図を救急車の搭載機器で測定し、搬送先の医療機関へ送るシステムの運用を始めた。専門医らの準備時間の短縮に役立て、早期の治療開始による救命や予後の改善につなげる狙い。同本部によると、南信地域での導入は初という。
同本部によると、救急搬送するほとんどの傷病者から心電図を取る。異常が見つかった場合、これまでは収容依頼に併せて電話で状態を伝えていたという。新たなシステムでは、救急車に載せた患者監視装置で測定し、救急隊員のスマートフォンとつないでメールで医療機関に心電図を画像データで送る。
管内で運用する救急車13台のうち、7台がこの装置を導入。車両更新に合わせて順次、配備を進める。車外に持ち出して使うことも可能。異常は救急隊員がチェックするほか、機器も検知する。測定は瞬時にでき、データは約30秒で送れるという。いち早く傷病者を搬送するため、基本的には搬送中の車内からデータを送ることを想定している。
6日現在で、受診できるのは▽辰野病院(辰野町)▽新田内科クリニック(同町)▽伊那中央病院(伊那市)▽仁愛病院(同市)▽神山内科医院(同市)▽昭和伊南総合病院(駒ケ根市)—の6機関。同本部は今後、連携機関を増やしていく考えだ。
同日、伊那中央病院で心電図の模擬伝送と受診の様子を報道機関に公開。同病院救命救急センターの堀江史朗センター長は「治療の準備を数分単位でも早くでき、その後の行程を含めると全体で更に短縮できる」と期待。同本部警防課の奥田敏男課長は「助かる人を一人でも増やし、早期の社会復帰にもつなげたい」とした。
同本部によると昨年、初診時に心疾患とされた中等症以上の傷病者の搬送件数は445件だった。
(写真は、ダミー人形を使い、救急車内での心電図伝送の様子を見せる救急隊員=伊那市の伊那中央病院で)