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僧侶と神職が共に祈り 温泉寺で納経会
2022年10月16日
温泉寺(諏訪市湯の脇1、瀧瑞巖住職)は15日、神仏習合時代に諏訪社上社本宮のご神体としてまつられた「御鉄塔(おてっとう)」のご開帳に併せ、「観音懺法(せんぽう)納経会」を開き、僧侶と神職が共に祈りをささげる約150年前まで行われた光景が再現された。
11月27日(日)まで、諏訪地域に分散した諏訪社上下社神宮寺由来の仏像を一斉公開する「諏訪神仏プロジェクト」(同実行委員会主催)に合わせて開いた。おんばしら年に限って御鉄塔を公開する同寺も「御鉄塔の存在意義や神仏習合の時代を知ってもらう機会にしたい」(瀧住職)と納経会を企画した。
法要は神宮寺で行われていたものを参考にし、江戸時代に高島藩歴代藩主の庇護(ひご)を受けた同寺、頼岳寺、貞松院、高国寺、仏法紹隆寺の「諏訪五山」をはじめとする僧侶人、手長神社の前島正宮司、児玉石神社の八木勇三宮司が参加した。本堂で僧侶たちが観音の来臨を請うた後、鳴物や太鼓などを打ち鳴らしながら御鉄塔が納まる多宝塔へ移動した。
塔の前で神事に移り、前島宮司の祝詞奏上などに続いて、僧侶たちが玉串をささげ、二礼二拍手一礼。この後、僧侶たちが塔の周りを数周してから門を開き、塔内で納経回向を行った。ご開帳に移り、納経者約50人が塔内で参拝した。
瀧住職は「諏訪地域の臨済宗ではしばらく行われていない法要。練習を重ねてたどりつけ、胸が熱くなる思い」と振り返った。
30日(日)までを特別ご開帳期間とし、回向柱も設けると共に宝塔横面窓を開き、御鉄塔を拝観してもらう。同日には御鉄塔の御柱祭も行う。
御鉄塔は、諏訪市有形文化財。旧上社本宮ご神体として拝殿の奥に安置された石造。弘法大師が建て、腐朽のために源頼朝が再興したといわれ、1631(寛永8)年、高島藩主の諏訪忠恒が石造で復興、仏舎利を納めた。二連の蓮台座、本体は膨らみを帯びた円柱形で、屋根と九輪をそなえる。明治の神仏判然令で、同寺境内の湯の脇天神山に移され、その後、本堂裏へ安置された。1979(昭和54)年に多宝塔が建立され、納められた。
(写真は、神職が見守る中行われた仏事)