NEWS

下諏訪の水でビール~来月、初出荷へ~

2022年4月19日

地ビール220418
 下諏訪町東町上の田村治男さん(35)が萩倉に醸造工場を設けて、地ビール造りに取り組んでいる。「下諏訪の水はおいしい」と町内での製造を決め、5月に初出荷できる見通しが立った。独立を視野に修行を始め、足かけ4年でようやく出荷にこぎ着け「萩倉の地域を盛り上げていきたい」と展望する。
 田村さんは町内の日本酒酒蔵で2年間勤務。しかし、勤めていた酒造会社が破産し、独立を考えるようになった。山梨県北杜市のビール会社で2年間修行し、昨年月に「田村醸造合同会社」を設立。「ムギクラブルーイング」というブランドで本格始動した。
 工場は東俣国有林の麓にあり、約120平方㍍。500㍑仕込み用のタンク6基を備えて醸造しており、現在は糖度や発酵具合など麦汁を調べる作業が進み、大詰めの段階。ことしは1万㍑を生産目標に、5月の出荷以降もビール造りを続ける。
 ビールの良しあしを決める要素の一つが水という。酒造会社に勤めていた際に酒米を萩倉で栽培しており、下諏訪の水の魅力に触れた。田村さんによると、国有林の麓にある湧き水は軟水。「日本人向きのビールができ、口になじむ」とする。
 「萩倉は山あいにあり、夏場は涼しく、風が抜ける。ホップ栽培に適した地形」と田村さん。将来的に工場近くに畑を作り、そのホップでビールを造るという構想も描いている。地域性を色濃くし、地域の活性化へつなげていきたい考えでいる。
 萩倉は以前、蚕糸業が盛んで繭蔵が多く、にぎわっていたという。しかし、市街地から比較的遠く、高齢化が進んでいるのが実態だ。田村さんは「萩倉は繭蔵を基点に盛り上がっていた地域。ビールを通じて、またにぎわうようになればいい」と願う。
(写真は、タンクの麦汁を注ぎ、発酵の様子を調べる田村さん)