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シルクスイート糖度に遜色なし 蚕のサナギ肥料に試験栽培

2022年2月11日

ネット220210サナギシルクスイート糖度
 岡谷市農業技術者連絡協議会は10日、蚕のサナギを肥料に試験栽培したサツマ芋「シルクスイート」の糖度測定結果を発表した。昨年10月に収穫して成熟させた計8本を測定し、生芋は13度前後、加熱後は33〜42度ほどだった。通常通り育てた芋と大差はなく、協議会事務局の市農林水産課は「一般的な肥料と遜色なく、今後の検証への足掛かりになった」とする。
  「シルク」の名前に着目して協議会などが特産品化を模索する中、製糸で栄えた岡谷ならではの価値を加える取り組み。宮坂製糸所(郷田1)から、糸を取り終わった後の薄皮が残る「ビス繭」と、サナギのみを取り出した2種類の提供を受けた。それぞれ砕いたものと、そのままの状態の計4種類を使い分け、昨年6月に市民総合体育館近くの研修農園の一角に苗を植えた。
 糖度は、サナギで育てた4種類と一般肥料の計5種類を生、オーブンによる加熱後、焼き芋機での加熱後の3パターンで測定。生は通常の芋、加熱後はサナギを使った芋の糖度が高かったが、同課は「保存状態などで変化するため、結果はあくまでも目安」とする。
 試験栽培では、51本18・7キロを収穫。本数や大きさにはばらつきが見られたが、日照環境に違いがあったことなどでサナギの効果を確かめ切れなかった。続く糖度測定でも大きな違いは確認できなかったものの、同課は「1回目の栽培でマイナスの影響が確認されなかったことは良かった」と受け止め、「今後は葉物野菜やトウモロコシなどほかの作物にも使って検証を進めたい」とする。
 宮坂製糸所ではサナギを食用として扱っているが、状態によっては廃棄しているのが現状という。高橋耕一社長は「(シルクスイートの肥料に使うのは)いい取り組み。有効活用してもらえるのはありがたい」と話していた。
(写真は、サナギを肥料に芋を植える関係者=昨年6月、市民総合体育館近くの研修農園で)