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植物標本の目録完成 明治後期の採集品など2万6383点
2021年12月9日
諏訪教育会自然調査研究部の植物委員会が、諏訪市の諏訪教育博物館に保管されている植物標本2万6383点を一覧にした目録を完成させた。1960〜70年代を中心に諏訪地域で採集された標本で、全国的に見てもまれな明治後期の採集品があることも分かった。膨大な量を約30年がかりで仕上げた白鳥保美さん(63)=茅野市玉川=らは、植物の存在を裏付けるその価値から、「目録の完成によって埋没している貴重な資料を広く知り、活用してほしい」と願う。
目録は上下巻計575ページのA4判。科名や種名、採集日、場所などが記載され、科名ごとに分類された引き出しや箱から探し当てることができる。この中には、長年委員会に属し、標本作りに力を注いだ岡谷市出身の元教員、故今井建樹さんの2403点も含む。
明治の標本は08、09(明治41、42)年の採集。3084点が八ケ岳、諏訪湖、蓼科など地域別に整理され、希少種「ヤツガタケシノブ」「サクラソウ」などが残る。コケ植物を除き、この時代の県内標本をこれだけ多く保有するのは同教育会だけといい、白鳥さんは「100年以上前の標本がこれだけそろい、きちんと分類されていることは価値がある」とする。
作成は、収納棚の標本を科ごとに整理して退職した今井さんの願いを受け継ぎ、当時から委員だった白鳥さんらが89年に開始。業務や調査活動の合間を縫って進めたが、限られた時間と人数でははかどらず、元委員やほかの教員も手伝ってここ数年で作業の手を速めた。
(写真は、標本室に保管されている明治後期採集のヤツガタケシノブとサクラソウ。完成した目録と照らし合わせる白鳥さんら)