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ピアノで絆つないで 仏法紹隆寺が参拝者に自由な演奏の場
2021年10月1日
境内が時折、ピアノの旋律に包まれる寺が諏訪市四賀桑原にある。ここは、江戸時代、高島藩主の祈願寺だった仏法紹隆寺。拝観受付所「桜寮」内にあるピアノを奏でるのは、参拝者。コロナ禍でさなざまなつながりが希薄になろうとする中、せめて絆をつなぐ場でありたいと、岩崎宥全住職の思いを込めた。
住職の妻の実家にあったピアノを、昨年10月に置いた。「お寺で演奏してみてはいかがでしょうか?ご自由に演奏ください」と告知したところ、多い月では4、5人が演奏するようになったという。
松本市内に勤務する営業マンの男性(24)もその一人。営業で訪れた際、住職の勧めで鍵盤に向かった。プロの演奏家を目指す青年は、会員制交流サイト(SNS)でもオリジナル曲を発表するなどしていて、表情豊かな演奏に住職も思わずリクエスト。青年は「まさかお寺でピアノが弾けるとは思わなかった」と話し、「イチョウをライトアップする秋には演奏してほしい」との住職からの依頼に笑顔で応じた。
桜寮内に置くお参り帳には「(亡くなった)小林亜星さんの曲を弾きました」「コロナ禍なので坂本九の曲を演奏した」などの言葉が残される。岩崎住職は「いろいろな思いでピアノに向かう姿が感じられる。寺の風景とピアノの音色が不思議とマッチする。伸び伸びと、皆さんに弾いたり、聴いたりしてもらえる日が訪れたら」と、新型コロナ収束を願わずにいられない。
(写真は、寺のピアノを演奏する男性)