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県境に大祭幕開けの音 神器「薙鎌」打ち込む神事 小谷村小倉明神の御神木に
2021年8月31日
小谷村戸土中股(仲又)の小倉明神で30日、7年目ごとに1度、諏訪大社御柱祭の前年に行われる「式年薙鎌(なぎがま)打ち神事」があった。諏訪大社の北島和孝宮司(63)が境内の杉の御神木に神器「薙鎌」を木づちで打ち込むと、信越の県境には「トン、トン」と2022(令和4)年の大祭の幕開けを告げる乾いた音が響いた。
神事は新型コロナウイルス感染症対策で、関係者のみとし、神職も含め約30人が参列。北島宮司と大宮諏訪神社(小谷村中土)の杉本英彦宮司(82)がやぐらに上がり、深い霧が立つ幻想的な雰囲気の中で北島宮司が薙鎌を粛々と打ち込んだ。
神事を終え、北島宮司は「御柱祭に向けて、また一つ神事を終えることができた。一つ一つ進めていく中で、曳行や建てる方法を氏子の皆さんと考えていきたい」と話した。
地域の過疎や高齢化が進み、3軒あった同社の氏子は和田家のみとなるなど、氏子だけでの奉仕は難しくなっているという。和田富枝美さん(62)は「草刈りをしたり、道をつくっていただいたりと関わってくださった皆さんのおかげで無事に終えられた」と感謝し、「それぞれの薙鎌に宮司さんの思いがこもっており、今回もいい場所に打っていただいた」と笑顔を見せた。
同神事は「国境見(くにさかいみ)神事」ともいわれ、7年目ごとに大社の神威が及ぶ範囲を確認し、信濃国の無事を祈るとされる。大社が薙鎌2体を携え、1体を県境にある大宮諏訪神社に奉納。もう1体を小倉明神と境の宮(同村戸土)の御神木に交互に打ち込む。明治時代に一時、中断したが1943(昭和18)年に復活した。県無形民俗文化財。(写真は霧が立ち込める中、小倉明神の御神木に薙鎌を打ち込む北島宮司)