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観光資源融合「シルクうなぎ」 餌に蚕のさなぎ活用
2020年12月18日
シルク、うなぎという岡谷の二つの観光資源を融合させ、川岸東5の観光荘が生産から携わったオリジナル商品「シルクうなぎ」を完成させた。愛知県の業者と連携し、宮坂製糸所(郷田1)から出る蚕のさなぎを餌に練り込んでウナギを養殖。きょう18日から岡谷本店、松本店で一日50食ほどの限定でうな重にして提供する。宮澤健社長 (43) は「時間はかかるかもしれないが、岡谷発祥の『寒の土用丑(うし)の日』には岡谷じゅうの店で食べられるように広めていきたい」と話す。
発端は、食材を県外産や輸入に頼る中で「岡谷らしいうなぎを作れないか」と考えたこと。もう一つの岡谷の資源シルクに着目し、幼少期にコイを飼っている人が餌に蚕をあげる光景をよく見ていたことも踏まえ、養鰻(ようまん)などを行う愛知県豊橋市の夏目商店に相談した。
宮坂製糸所に話を持ち込み、4月には県産蚕のさなぎ5万個分を乾燥してもらい、更に諏訪市の高山製粉が粉に。夏目商店で5月から通常の魚粉、魚油で作る餌に1%ほどさなぎの粉末を混ぜて与え始め、10月には規定のサイズになった。
収量は約5700匹で重量は1・6㌧。品質を落とさないため鮮度の良い状態でさばき、下焼きをして急速冷凍。「味に一番厳しい」という観光荘社員の試食を経て、岡谷らしさが詰まったかば焼きが出来上がった。
17日には、報道や市関係者らを招いた試食会を岡谷本店で開催。参加者からは「脂が乗っているのにあっさり」「身が軟らかくしなやか」など好評の声が聞かれた。市観光協会の武居和子事務局長は「岡谷の2大観光資源が一つになり、わくわくしている。うなぎのまちの核として、協会でも情報発信などで後押ししていきたい」と話した。
当初は真空パックのみで販売する予定だったが、いち早く味わってもらいたいと数量限定で店舗での提供を決めた。宮澤社長は「思いつきからのスタートだったが、いろいろな方の協力でハードルを越えられた。シルクとの相乗効果へ更に深掘りしたい」と語った。
シルクうなぎ重として税込み4380円で提供し、用意している約1500食分がなくなり次第終了。1月29日(金)の寒の土用丑の日には、真空パック商品を販売する。
(写真は、完成した「シルクうなぎ重」を持つ宮澤社長)