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「生天」干し場に整然と 冬の風物詩 角寒天作り始まる
2020年12月5日
茅野市の冬の風物詩、天然の角寒天作りがことしも始まった。厳しい冷え込みと高い晴天率を生かし、昔ながらの製法で続けられる地場産業。原料のテングサを煮固めた「生天」を干し場に並べる天出し作業が、来年2月半ばまで行われる。 五味喜一商店(宮川茅野)では、冬の訪れとともに県内や東北地方から 20人弱の作業員が集まり、4日に天出し作業をスタート。農閑期の田んぼを利用した約 14.9ヘクタールの干し場で、今季も例年並みの 100万本の生産を目指す。
前々日の深夜からテングサを煮溶かし、午前8時から、わずかに湯気を上げる棒状の生天約1万5千本を手際よく並べた。凍ったり溶けたりを繰り返し、2週間ほどで水分の抜けた角寒天に仕上がる。 昨季は暖冬で生産量が2割弱減ったが、新型コロナウイルスの感染拡大による「巣ごもり需要」で、4月以降、手作りゼリーなどの材料として売り上げを伸ばしているという。
同商店の五味昌彦さん (62) は「ここ何年かのうちでは、天気予報的に寒くなると期待している。天然の角寒天はうま味と食感が違い、食物繊維の健康効果もあって意外と時代に合っている。効率は悪いが、作り続けていきたい」と話した。
(写真は、今季も始まった天出し作業)