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小型ロケット打ち上げ成功 プロジェクトが諏訪湖で実験
2020年3月2日 諏訪6市町村が信州大学に事業委託して行う「SUWA小型ロケットプロジェクト」は1日、5号機の打ち上げ実験を諏訪湖で行った。速報値では高度約300㍍に到達し、搭載した2段階のパラシュートが開傘。機体は船で回収し、実験は成功した。プロジェクトマネジャーで信大工学部の中山昇准教授(49)は「3500㍍まで上がるロケットの高度を抑え、予定通りの場所に落とすことができ100パーセントの成功」と手応えを話した。
機体は全長2・05㍍、直径10・2㌢の炭素繊維強化プラスチック製で、酸化剤燃料を除く重さは9㌔。エンジンは固体燃料に樹脂の「ポリプロピレン」、酸化剤に液体の亜酸化窒素を使うハイブリット型。圏域の小中学生らが寄せた261枚のイラストを組み合わせ、機体にあしらった。
諏訪湖での打ち上げは、目標の「マッハ超え」へ湖上で継続して実験する足掛かりとし、必要な要素技術をその都度確認するのが狙い。今回は想定区域内に安全に着水させる技術を確かめようと、リボン状の吹き流し(ストリーマー)とパラシュートを2段階で作動させた。
岡谷南高校近くの岡谷市多目的広場から南東へ約700㍍沖合に、発射台を設けた台船を配置。東へ80度の角度で、予定通り午前10時に無線操作で打ち上げた。約25秒後、射点から東に約160㍍の位置に着水。プロジェクトメンバーが乗る船で機体を回収し、中山准教信大理学部は「完全成功だった」と胸を張った。
多目的広場の本部周辺には、子どもからお年寄りまで多くの人が集まって実験を見守った。父親と訪れた河西慶士郎君(7)=湖東小学校1年=は「思ったより飛んだし速かった」と目を丸くした。内山亜結麦さん(14)=諏訪南中2年=は「地元で打ち上げをしているのは誇りに感じる。将来はものづくりに携わりたいと思っているので、実験が続いていたら参加させてほしい」と話した。
予定通り全ての工程を終えると、本部のメンバーからも喜びの声が上がった。プロジェクトリーダーの成田周介さん(38)=ダイヤ精機製作所=は「開発してきた苦労が報われ、地元の人にも見てもらうことができて良かった。ものづくりが楽しい、やってみたいと思ってもらえたらこの地域はもっと発展していくと思う」と語った。(写真は、回収した機体を確かめるプロジェクトメンバー)